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さおり、12歳
【ロリ 官能小説】

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日本画家 Z (最終回)-1

 今日の「お客様」は日本画家のZ、小学生のさおりでも名前くらいは知っている有名画家だ、大正ロマンを感じさせるノスタルジックで耽美的な画風で人気がある。
 待ち合わせる場所は本人のアトリエ兼自邸。
 奥様は既に亡く一人暮らし、通いの家政婦がいるそうだが、今日は休みなのだそうだ。
 週刊誌に狙われるような人物ではないし、モデルのような振りをして行けば何も問題はない……と言うより、実際にモデルを頼まれているのだ、さおりとしてはもちろんセックスの相手を務めることにも異存はないが、その話は出ていない。
 それと言うのも画伯の年齢、80歳になるのだ。
 その歳にもなれば既に引退している男性も多いものの、生涯現役を貫ける男性も少なからずいる、おそらくは相手次第と言う事なのだろうとさおりは思う。
 そして自分を描きたいと言うくらいなら……。


 普通は夕方から夜にかけてホテルで待ち合わせるケースが多いのだが、画伯の希望は午前中から夜にかけての長時間。
 さおりを呼びたがっている顧客は多いし、さおりが「仕事」出来るのは週末しかない、組織としては少し渋ったのだが、春休みに入ってさおりのスケジュールに空きが出来た、と言うよりも本来休養日に充てておいた日だったのだが、さおりが行くと言うし、画伯の年齢からして、おそらくそうきつい仕事にはならないだろうということで急遽決まったのだ。
 とは言え、それほど早い時間からとは行かない、画伯から是非にと預かっている和服の着付けが必要なのだ。
 母親のさゆりは自分で和服を着られるから着付けも出来るのだが、あいにくその前日の夜から顧客と共に過している、さおりは美容院で着付けをしてもらってから画伯のアトリエを訪ねて行った。



「ああ、よく来てくれたね……写真で見るよりも更に可憐なお嬢さんだ、嬉しいよ」
「お気に召していただければ」
「いや、理想的だよ……まあ、とにかくコーヒーでもどうかな?」
「家政婦さんはお休みなのでは?」
「いや、私は日本画家の癖に大のコーヒー好きでね、これだけは自分で淹れるんだ、そのプロセスも好きなのでね」

 自らブレンドしたと言う豆を手回しミルで挽き、布製のフィルターを使って丁寧にドリップしてくれる、そしてその間に少し話も。

「私の画は見てくれたことがあるかな?」
「すみません、実物はまだ……、画集は拝見させていただきましたが」
「それで充分だよ、どうかな?」
 画伯の画は人物が中心、いわゆる美人画家だ。
 その中には裸婦画も相当数あるのだが……。
「私のような子供を描かれたものも拝見しましたが、ヌードは……」
 さおりは、自分をモデルにしたいと言うのは当然ヌードなのだろうと思っていたのだが、想像に反して少女のヌード一枚もなかったのだ。
 ただし、画伯の描く女性はおしなべて華奢な体つきと幼い顔立ち、少女への憧憬は見て取れる……。
「そう、描きたくないわけではないんだよ、ただねぇ、やはりそれはいけないことのような気がしてモデルにヌードを頼めなかったんだ、帯を解いてもらうところまで行ったことはあったんだが、止めてしまった……そんなことを打ち明けると、君に申し訳ない気もするんだが、この歳になって、いつお迎えが来るかと思うようになったらね、やはり一度は描いてみたい、そう思うようになってね」
「お気になさらなくとも……それより、私で良いのかと思うくらいで……コールガール、娼婦ですから」
「私が初めて描いた裸婦も娼婦だったよ、むしろ沢山の男に悦びを分け与えてくれる女性はまた格別な味わいを持っているものでね」
「そう仰っていただけると……あ……美味しい……」
「そうか、気に入ってもらえたかな? 私もこのコーヒーの味は自慢なんだよ」


「その歳で所作が堂に入ってるね、誰に習ったの?」
「母に……」
「お母さんも同じお仕事だったね……江戸の昔、花魁と呼ばれる女性たちは芸事や教養も一流だったと聞いているけど、現代の花魁だね……そう呼ばれて嬉しいかはわからないけど」
「いえ、そう思っていただけるなら嬉しいです」

 広々として手入れが行き届いた日本庭園で、そしてアトリエに移って、画伯に請われるままに次々とポーズを取る。
「帯を……」
「はい」
 さおりは帯を解いて襦袢姿になり、襦袢の紐に手をかける。
「そこまでで……」
「はい」
 襦袢姿でまたスケッチ……襦袢姿で日本庭園に佇んでいるとなにやら大正時代に迷い込んでしまったような心持になる、まるで画伯の描く画の中に佇んでいるかのように。
 やがて日が西に傾き庭を茜色に染める頃には、さおりはすっかり画の中にいるかのような心持になる……。
 
「……」
 さおりが言われないままに襦袢を滑らせ、腰巻姿になる……画伯は何も言わず、一層集中した目つきとなり鉛筆を走らせた。


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