One Way-4
『俺、一樹と真佑ってお似合いだと思うよ?・・・上手くいくといいよね。』
ふいに拓海の声が聞こえた。
真佑、お前の好きな奴は、お前の気持ちに気付かないばかりか俺と上手くいくと
いい。なんていうような奴なんだよ?
真佑が一人で泣いてるなんて、想像もしたりしないーーー。
ぎゅ・・・と目を瞑る。
「俺なら、真佑にこんな思いさせないんだけどな。」
思わず本音を口にしてしまう。
まず・・・っ、一瞬真佑の体が強張った気がした。
だけど、その後いつものように「冗談」とかいう声は聞こえなくて抵抗する様子もない。
ーーーもし、神様がいるならこんな時を利用しようとしている俺に地獄行きの切符を手渡すだろうか。
そんなことを考えながら
「俺に、しとけよ。」
弱っている彼女にこんなこと言うのは、反則だと思いながら・・・。
「俺は、真佑が思っているよりも真佑を大切に想ってる。」
今は言ってはいけない言葉。
だけど、俺がずっと告げたかった言葉。
真佑は、その後俺の腕の中でまるで子供のように泣いていた。
今まで我慢していた分、今まで頑張っていた分の涙を流していた。
ねぇ、神様。こんな卑怯な俺だけど、今だけ・・・今だけでいいから彼女を抱きしめる権利をください。
例え、今だけでもいい・・・彼女に頼って欲しいから・・・。
〜Fin〜