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One Way
【片思い 恋愛小説】

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One Way-3

〜松島 一樹Side〜
「俺、彼女ができたんだよ〜。」
嬉しそうに言う拓海の言葉に、一人の女の顔が浮かんだ。
「・・・なぁ、それ真佑には。」
できれば、彼女には内緒にしてやってほしかった。
真佑は・・・拓海が好きだから。
そして、俺は真佑が好きだから。
「え?さっき報告したよ?良かったねって言ってくれた〜。」
悪気の全く無い拓海に、思わず殺意すら覚える。
「この・・・っ。」
殴りかかりそうになったが、そんなことしても真佑は喜ぶどころか悲しむだろう。
そう思い、ふぅ・・・と息を吐く。
「・・・で、真佑は?帰ったのか?」
真佑が拓海を好き、なんてことは俺しか知らない。
だから、側にいてやりたかった。
もっとも、真佑は俺が真佑のことを好きだって知っているから素直に甘えてなんてくれないんだろうけど。
「いや、なんか教室に行ったみたいだよ。」
「そか・・・。」
踵を返し、多分教室じゃなくて一人になれる屋上とかに行ってるんだろうな、と行動の予想をしつつその場を離れた。
「俺、一樹と真佑ってお似合いだと思うよ?・・・上手くいくといいよね。」
背中ごしに、まるで独り言を言っているかのような拓海の声が聞こえた。

そうだね、俺も上手くいきたいと思ってるよ。
でも、当の本人はお前のことが好きなんだよ。
心の中で毒づきながら、階段を足早に駆け上がる。

屋上に着き、そっとドアを開けこっそりと外を見る。
するとフェンスに凭れ掛かった真佑が顔も隠さず瞳から大粒の涙を溢れさせていた。
ぐ・・・っ自分の胸を掴む。
今すぐ駆け寄って、抱きしめてやりたい衝動に駆られたから。
だけど、そんな弱みに付け込んでいいのかという2つの感情の葛藤。

俺は・・・どうしたらいいんだろう。

ドアを気付かれないように閉め、考える。

俺は・・・俺は・・・。

「やほ〜。マイハニー!迎えに来たよ〜。」

がちゃりっと勢いよくドアを開けた。
びくっと体を震わせた後、こちらを見る。

あー、相当涙を流したらしい。慌ててごしごし目を擦って誤魔化しているようだがかなり目が赤くなって、腫れている。
「こっちこないで、とっとと帰れ。」
いつもと同じ、そっけない態度。
「何々?泣くなら俺の広い胸を貸してあげるよ?」
俺もなるべくいつも通りに振舞う。
多分、それが今の彼女にしてやれる精一杯。
だけど
「お願いだから、今は一人にさせて。」
やっぱり、俺じゃ役不足なのかな?
ふぅ・・・と自然に溜め息が漏れる。
「利用して、甘えてくれればいいのに。」
真佑に聞こえないように呟く。
案の定、真佑は首を傾げ「何?」と聞いてくる。
真佑の性格上、俺が、自分を好きだって知っているから俺には頼れないんだろう。
俺は利用してでもいいからこんな時くらい頼ってほしいんだけど。
だったら・・・。

「・・・俺ら、友達だろ?」

自分の気持ちを封印した。
友達、としてなら少しは心を開いてくれないだろうか?
そ・・・と真佑を抱きしめる。

大切な友達として・・・。

ゆっくり気持ちを落ち着かせるよう髪を梳いていると、なんだか真佑が自分のモノになった錯覚を起こしそうになる。
なるわけないけど・・・。
独占欲が芽生えてしまう。


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