One Way-2
松島は、高校に入ってから知り合った友達。
なんだかんだ言って拓海同様一緒にいた。
あたしが拓海を好きなことを知っている唯一の人。
別に、わざわざ話したわけじゃない。
『俺と付き合って〜!』
と恥ずかしげもなく公衆の面前で冗談のような告白してきて、その後も本気なのか冗談なのかわからない口調で口説くから
『あたしは、拓海が好きなの!』
と逆キレして告白した。
その時松島は
『ふぅ〜ん。』
といつもの通りの笑顔で、わかっているのかわかっていないのか判断できない反応をしたけれど。
・・・って言うか、お呼びじゃないし。
あたしは今は一人がいいのだ。
「こっち来ないで、とっとと帰れ。」
涙を見られるのが嫌で目をごしごし擦り冷たく松島に言った。
「何々?泣くなら俺の広い胸を貸してあげるよ?」
「いらない・・・それより、一人にしてよ。」
「ええぇっ?俺と真佑の仲なのにぃ?」
・・・多分、松島は全部知ってる。
勘だけど。
すごくわざとらしいもん、あたしを慰めようとしてる。
だったら、余計に
「お願いだから、今は一人にさせて。」
ほんとに、今は辛すぎて松島の気持ちを利用して甘えてしまいそうだ。
そんなあたしの様子を見て、ふぅ・・・と一つ溜め息を吐く。
「・・・・・・。」
あまりに小さい呟きはあたしの耳に届かなかった。
「え・・・?何?」
聞き取れなくて、首を傾げると松島はゆっくり首を振り寂しそうに笑った。
「・・・俺ら、友達だろ?」
苦笑いしながら近寄ってくる。
あたしに警戒心を抱かせないように。
「・・・っ。」
そのまま前に立つと、ぎゅ・・・っと、だけどまるで壊れ物を扱うように抱きしめられる。
心が弱っているせいだろうか?そんな松島の優しさに胸がどくん、と跳ねる。
「・・・友達ならいいでしょ?こうしても。」
よしよし、と慰めるように大きな掌で髪を梳かれる。
「俺なら、真佑にこんな思いさせないんだけどな。」
溜め息混じりに、甘く耳元で囁く。
いつもなら「冗談!」とか言って逃げるのだけど、今はそんな余裕がない。
無言のまま、返事をできないでいると
「俺に、しとけよ?」
追い討ちをかけるように言葉を紡ぐ。
「俺は、真佑が考えているよりも真佑を大切に想ってる。」
甘えちゃいけないことは分かってる。
だけど・・・今はこの体温が気持ち良くて、あたしは松島の胸で思い切り泣いた。
〜Fin〜