第21話 29番日誌21-1
〜 29番の日常 〜
―― 7月○日 晴れのち曇り ――
午前中は、数学、美術、社会、理科。 数学は積分と積算、美術は木工、社会は古代史、理科は気体の製法を勉強した。 最初はどの授業も同じに思えたけれど(授業の名前を借りて、私達を苛めるだけの時間という点で)、慣れてくると、それぞれに趣がないこともない。 私はどっちかというと文系が好き。 社会で昔の人たちが頑張った話を聞いているとワクワクする。 理科は……気体とか、見えないし実感もないし『こうやってオマンコで薬剤を混ぜれば膣から腐卵臭が出せる』って教わっても、へぇ〜、としか思わない。 あ、2号教官の話が詰まらないっていう意味じゃないですよ。 教官の話し方、キビキビしてて無駄がなくて、私は好きです。 ただ理科が性にあわないっていうかなんていうか……ごにょごにょ。
午後はトレーニング体育館で『ボディ・ランゲージ』を練習した。 今までとは毛色が違って戸惑ったけれど、まあ、こういうのも偶にはアリかな。
5限は『プッシー・トーク』といって、『喋りながらオマンコを開閉し、オマンコで喋っている』ように振舞う。 指で陰唇を引っ張って、くぱぁ、と拡げるだけの単純な仕草じゃない。 両手合わせて10本の指それぞれに『糸付クリップ』を結び、オマンコの大陰唇に4個、小陰唇に4個、膣口に2個クリップを取りつける。 トレーニング体育館の床にM字開脚で座り、中が見えやすいように腰を突きだす。 その上で指を動かして、オマンコ全体で『本物の口』を演出する。
トレーニング体育館のスクリーンには、『あ』という文字と『あ、と喋っているときの口』、そして『あ』に対応するオマンコの拡げ方が映っていた。 みんなでクリップを操作し、スクリーンの見本をなぞってオマンコの肉をひっぱりながら『あ〜〜』と発声している、教官が上手にプッシー・トークが出来ているオマンコをモニターに映してくれた。 ジッとスクリーンを眺めていると、確かにオマンコが喋っているように錯覚する。
みんな、行動にも顔色にも余裕があった。 なにしろ普段はもっとずっとハードな責めに耐えているわけで、オマンコをキツくクリップで挟まれるくらい、勿論痛いには痛いんだけど、本音では全然平気だ。 心にゆとりがあると行動にも反映してか、クラスの中には、陰唇で口のかたち、膣口の振動で声帯を表現している子がいたり、小陰唇のクリップを1つ外してクリトリスに繋げ、勃起したクリトリスを引っ張ってダイナミックな発声を演出している子もいた。
6限は『アナル・トーク』。 プッシー・トークがオマンコなら、アナル・トークは肛門だ。 クリップの代わりに『糸付フック』を指に結びつけ、尻たぶに4本、肛門に6本ひっかける。 背中を反らして腰を捻り、お尻を後ろに突きだした姿勢でアナル・トーク。 私はお尻がおっきいから、お尻の割れ目を拡げるのに一苦労した。 とにかくすぐに指が疲れて、何度も攣(つ)りそうになりながら、どうにかお尻をパクパクさせた。 スクリーンを見るためにはよっぽど腰を捻らなくちゃいけなくて、腰を捻りつつも肛門は正面に向けっぱなしだから、『あ』から『ん』まで発声が終わった頃には身体中が強張っていた。
7限には『ヘソ・トーク』をした。 まず最初に、配られた油性サインペンで、自分のお腹に小さな顔の絵を描く。 その時に『臍(へそ)』が『口』になるように、目や鼻、眉を配置するのがポイントだ。 教官がスクリーンに映した見本は、おどけた不細工顔だった。 一目見てみんな大爆笑した。 普段滅多に笑わない【2番】さんも、俯いて肩を震わせていたから、きっと笑ってたんだと思う。 そういう絵を自分のお腹に描くっていうのは、考えようによったら屈辱的かもしれない。 けど、私たちは開き直っていて、楽しむ方向で絵を描いた。 友達同士茶化しながらお腹に絵を描くのは、恥ずかしいというよりは素直に面白かった。
ヘソ・トークでは、ヘソを開閉するのに道具は使わない。 お腹をくねらせ、息を吸い込み、身体を曲げて口の動きを表現する。 腹筋に力を込めながら、たふたふと波うつお腹に合わせて発声すると、描いた顔がより一層滑稽になるから、みんな笑いを堪えていた。 ちょっと前までは『笑う』こと自体珍しかったし、授業中に笑うなんてもっての他だったけれど、最近笑顔が珍しくなくなった気がする。 それがいいのかどうかは分からないけれど、多分、悪いことじゃないと思う。
そんなこんなで、今日は比較的簡単な体育でした。 お腹をクネクネさせるだけでもそれなりの運動になったから、汗もいっぱいかけた。 ということで、スッキリとリフレッシュした午後でした!