第16話 29番日誌O-1
〜 29番の日常 〜
―― 6月○日 晴れ ――
最近午後の体育が楽しい。 球技大会の練習を兼ねて、色んな球技が出来るからだと思う。
種目のルールを真剣に眺めたら、そりゃあ色々思う所はあるけれど。 それでも、みんなで盛り上がれるなら、ちょっとくらい恥ずかしくても大丈夫。 ミジメだなぁって思うときがないわけじゃないけど、2組のみんなが一緒なら、気持ちを楽にしてもらえる。
球技大会は『ドッジボール』『ポートボール』『キンボール』の3種目で競う。 今日は『ポートボール』の練習だった。 学園の『ポートボール』は『7人 VS 7人』で戦う。 『ゴール役』が1人、『ガード役』が1人、残り5人が攻めたり守ったりする『メインプレイヤー役』。
『メインプレイヤー役』の姿勢は、両手でおっぱいを掴んだ『おっぱいスタイル』。 ボールに触れていいのはオッパイだけだ。 ドッジボールとほぼ同じ大きさのスポンジ球をおっぱいで挟み、パスでもってボールを運ぶ。 それなりに大きいボールをオッパイで挟むために、キャッチする時は外側へグイッとおっぱいを引っ張ってから、キャッチと同時に寄せて包む。 ボールを投げるときは、身体全体を反らしてから、勢いをつけてオッパイからボールを離す。 敵が投げそこなったボール――例えばパスに失敗して地面に落ちたボール――をおっぱい越しに掴むことが出来れば攻守交替という寸法だ。
『ガード役』は、ドッジボール同様に両手を背中の後ろに回してからしっかり組み、胸をはって、敵のシュートを妨害する。 ボールに触れていいのは、ガードにしても、おっぱいだけだ。 メインプレイヤーが放ったシュートを、おっぱいを振りまわして弾くのが仕事。 キャッチできない分、おっぱいの酷使が最も激しいポジションだと思う。
『ゴール役』となると、台の上でマングリ返しを作り、おまんことおっぱいをギリギリまで近づける態勢をとる。 ゴール役がボールをキャッチすると得点が認められるんだけど、キャッチが『手を使わずに、おっぱいでボールを支えること』でしか認められないからだ。 お股とおっぱいをフルに活用しないと、跳んできたボールを受けとめるなんて出来やしない。 理想のキャッチングというと、マングリ返しをした上で足を拡げ、飛んできたボールを太腿で挟み、そのままおっぱいの上に抱え込む。 まるでイソギンチャクが得物を呑込むような光景は、ポートボールの間中続く。
5限目はみんなが『メインプレイヤー』になって『パス』を練習した。 当たり前だけどおっぱいが大きい方が断然有利だ。 おっぱいが大きくて嫌なこともあったけど、学園に入ってからこちら、得なことも沢山ある。 勢いをつけたパス、守備を躱すための高いパス、バウンドをつけた鋭いパス――おっぱいからだろうけど、私のパスは面白いように通る。 ちょっとしたエースプレイヤーの気分だった。
6限目は3人1組――1人がメインプレイヤー、1人がガード、1人がゴール――を作り、役割を交替しながらシュートの練習だ。 ガードとメインプレイヤ―は、私が一番上手に出来たと思う。 ガードの時はシュートを全部おっぱいで弾いたし、メインプレイヤーの時はガードの上を超えて3本シュートを決めた。 ただ、ゴール役は全然ダメ。 つい太腿でボールを挟んでしまうから(おっぱいを使わずにボールを止める行為は反則なんです)、いいシュートが来ても全部私のミスでダメにしちゃって……泣きそうになる。
それに引き換え【30番】さんはキャッチが上手だった。 サッカー部だっていうのもあるかもしれない。 飛んできたシュートにポンと足を触れて、シュルシュルとおっぱいの上に誘導する。 足遣いというか足捌(あしさば)きというか、どちらにしても圧巻だ。
いよいよ7限になって、5つの班をつくった。 総当たりのゲーム形式だ。
私は専らメインプレイヤー。 ゴールは【30番】さんで決まり。 ガードは【34番】さんが一番背が高いから、彼女に任せた。 で、1班から4班まで対戦した結果……YES! 見事一位になっちゃいました! 1班さんとはギリギリの勝負で、【2番】さんのシュートを【34番】さんがファインセーブしまくったのが大きい。 結局『3−4』の一点差で勝って、あとは勢いに乗って全勝だ。 ちなみに私達の得点のうち、90%は私のシュート。
気がついたら、どのチームも真剣な顔で取り組んでいた。 当然私達の5班もだ。
真剣だからこそ、ファインプレイが出たら笑顔でハイタッチするし(お互いおっぱいを前に突きだして、互いにぶつけ合う)、惜しいプレイがあれば『おまんこッ!(ドンマイ、のつもり。 プレイ中は『おまんこ』か『イク』以外の単語は禁止)』と声をかける。
幼年学校時代の自分からすれば、信じられない破廉恥なスポーツなんだろうけど。
けれどもここは『学園』だ。 愉しむ余地が少しでもあるなら、恥じ入るよりは笑顔になる方が、絶対いいに決まってる。 パスが欲しい時は『おまんこ!』っていうことに決めていたから、試合の間中『おまんこ』『おまんこ』って叫びっぱなしだったけど、恥ずかしいなんて気持ち、これっぽっちも浮かばなかった。