切っ掛けは母と娘の交流-2
「こういう場合は、実写モードにしてからの方が捕まえ易い」
実際、矢野はカメラ機能のスイッチを入れて、実写モードに切り替えていた。スマートフォンの画面は、いつもの架空の空間ではなくて、目の前の公園の空間を映していた。
実際にはそこには何も居ないが、スマートフォンの画面を通して見ると、公園の一画にモンスターが跳び跳ねていた。
「こうして頭だけが映るように角度を変えると狙いやすくなるからね」
矢野はスマートフォンの向きを調整して、モンスターの頭だけが映るタイミングに合わせると、画面に指をスライドさせて、モンスターにカプセルをぶつけた。
顔の真ん中に当たり、画面に【Congratulations】の文字が浮かんだ。
急所に当たった時に出る文字で、これが出ると例えレアモンスターでも9割は捕獲が成功する嬉しい文字だった。
捕らえられたモンスターは抜け出すことなく、無事にカプセルに収まった。
何度やっても上手くいかなかったのに、矢野はいとも簡単にモンスターを捕まえてみせた。真奈美は凄く感心していた。
「はいどうぞ。でも逃げ出さなくてよかった」
微笑みながら、矢野はスマートフォンを返してくれた。
参加者たちとは一時間ほど行動を共にしていたが、いつしか自然解散となっていた。
智子からお茶を誘われたので、何かの縁と思って付いていくことにしたが、何故かそこには矢野も混じっていた。
公園の前の洒落た喫茶店に入り、アイスティを注文した。はしたないと思ったが、直ぐにトイレに立った。公園のトイレが汚くて、真奈美は我慢していたのだった。
激しい迸りが便器を叩き、我ながらよく溜め込んでいたと感心した。
尿で濡れた股間を拭き、トイレから出たところで、急激に喉の渇きを覚えた。トイレが近くなると困るから、全く水分を摂っていなかったからだ。
注文したアイスティはまだ来ていない。真奈美はコップに注がれた水を一気に飲み干した。その姿を矢野と智子がじっと見ていた。
しばらく、3人で会話を楽しんでいたが、真奈美は急に眠気を覚えた。
うとうととしながら、智子のとりとめのない話を聞く内に、真奈美はいつしか深い眠りに陥っていた。