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君へ
【失恋 恋愛小説】

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君へ-1

伝えたかった。でも、言えなかった言葉。大好きだったよ。
「2年、長いね」
私は言った。
「うん」
彼は言った。
二人で過ごして半年が経っていた。最初から分かっていたこと、平気だと思っていた。
出会ったころ彼は2年間カナダへ留学することが決まっていた。
私は19歳、彼は18歳。
初めて二人で遊んだとき、彼は言った。
「来年の5月にアメリカの大学行くんだぁ」
「そうなんだぁ、すごいねぇ」
私はこのとき今みたいな気持ちになるとは思っていなかった。
それから一ヶ月、私・ななと彼・優は毎日メールをした。そして5回目に会った時はお互いに惹かれてた。二人で海に行った。9月の海は少し肌寒かったが、二人で話していると全然気にならなかった。気付くと19時を回っていた。その時、海の上空に花火が上がり二人は顔を見合わせて驚き、喜びあった。
しばらく花火の余韻に浸ってから、近くの居酒屋に入り飲みながら食べた。
海へ来た解放感からか、花火の効果なのか私達のお酒のペースは早かった。
3時間ほどいると私はすっかり酔ってしまった。居酒屋から出て駅へ向かった。が、私は酔いすぎて戻してしまった。恥ずかしさと気持ち悪さで泣きたくなったが、彼は優しかった。
「ごめんな、飲ませ過ぎた。水買ってくるからベンチで休んでて」
とコンビニへ入っていった。酔った私を抱きかかえ水を飲ませてくれた彼は一歳下なのに大人に感じた。彼の腕の中は安心でき少し眠ってしまった。気が付くと終電はなくなっていた。彼は私を起こさないように、そのままの姿勢だったらしい。私を見ると微笑んだ。「寝言、言ってたよ。眠いって。」
彼は優しく髪を撫でてくれた。海からの潮風で私の細い髪は絡まり彼の指を止めた。
「どうする?どっか泊まる?」
彼は少し自信なさげに言った。私が頷くと彼は強く抱き締め立ち上がり私の手を引いた。
近くには当然のごとくラブホテルしかなかった。
「何もしないから」
彼は言い、二人の所持金で泊まれるギリギリの部屋にした。
ドキドキしていたはずなのに布団を見た途端、二人とも眠気に襲われ深く眠ってしまった。
朝、目を覚ますと二人で顔を見合わせて笑った。なぜだかおかしかった。
「何もしない約束守れた」彼はそう笑って私を引き寄せキスをした。少しの煙草と彼の香りがした。
「ごめん、約束やっぱなしで」
と呟きまたキスをした。温かかった。
何故だか涙が出た。ずっとこのままでいたい。初めてそう思った。
私たちは付き合うことになった。既成事実が先と言えばなんだが好きと言う気持ちに嘘はなかった。二人でいると落ち着いた。足りない部分を補いあい笑いあった。
私を見つめる瞳、私を呼ぶ声、私に触れる手…全部が優しく愛しかった。
彼の存在が大きくなると私は思いだし苦しくなった。来年の5月に彼はアメリカへ行き2年帰ってこない。出会ってから3ヶ月…11月に入ろうとしていた。私は不安になる時間が多くなった。
彼がアメリカに行ってしまったら私はどうなるんだろう、耐えられないかもしれない、そう考えると怖くなり考えるのを止めた。


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