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尚代 第二話
【SM 官能小説】

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選択-4

 寝室からは、外のテラスを兼ねたベランダに出ることができた。ベランダとの境にある遮光カーテンを開けると目映い夏の日差しが飛び込んできた。
 日が高いが、まだ午前だった。しかし、ベランダの床の木は、暑い夏の日差しを受けて、すでに熱くなっていた。
 ベランダには物干しと日よけ付きのテーブルセットがあった。また、涼しげな色のパラソルのついたデッキチェアも置いてあった。

 姉の身体と引き替えに、乳房吊りを免除された尚代は、身体に付いていた綿ロープが取りはらわれた。
 男に追われ、ベランダのパラソル付きのデッキチェアまで歩かされた。わずかな距離で、わずかな時間であったが、自由になった身は嬉しかった。
「デッキチェアまで歩くんだ!」
 男に言われ、本能的に片手で股間を隠しながら進んだ。
 暗いクローゼットから寝室を通った。押さえる物の無い乳房が左右に重そうに揺れる。
 ベランダに出ると、目映い光の中、真っ白い身体と赤紫色が残った乳房が、痛々しいコントラストをなしていた。
「そこにのるんだ」
 チェアの背はリクライニングされていて、優雅に寝そべって日を浴びることができた。
 尚代は木製の白いデッキチェアに上がって、仰向けに寝そべった。大型のパラソルのおかげで目に日が直接入ることはなかったが眩しかった。
 仰向けになると、両くるぶしはチェアの左右の脚に、それぞれロープでガッチリくくられてしまった。そのため、膝下の両脚は肩幅以上に拡がってしまい、暗褐色の無毛の土手が丸見えになった。
 明るい青空の下、隠すべきところが晒される恥ずかしさで、あわてて右手で秘裂を守るかのようにピッチリと押さえた。
 つぎに、寝そべっている首の上にもロープが通され、椅子に括り付けられた。首は自由に動かせるが、これでもうチェアから起き上がることはできなくなった。
「喉が渇いただろう。……これを飲め」
 男は冷たいグレープフルーツのジュースが入ったストローの付いた紙コップを手渡した。
「また殴られるとまずいからな。……用心して紙にしたぜ」
 右手で股間を押さえたまま、左手で紙コップを持ち、ストローでジュースを口にした。カラカラの喉によく冷えたジュースが滲みていった。
「ここでしばらく、休んでいるんだ。……いいな!」
 空になった紙コップを取り上げると、尚代は右手を股間に、左手を乳房にそれぞれあてたままでいる。
「ここまで身体の秘密を知られても、やはり女ってのは隠しておきたいものなのか。よし……じゃぁ……」
 男は乳房を押さえた左手首にロープを輪にして巻き付け、椅子の背を一周してまた手首に縛り付けた。ちょうど、右の乳首のところに左手がくるようにチェアに縛り付けられた格好だった。
 右手は股間に置かれたまま、手首に輪にしたロープを巻き付け、同じように椅子の腰の部分で一周して、末端をまた右手首に巻き付けた。
 これで、右手は隠したいだけ股間を隠すことができただけでなく、秘裂を押さえる右手は自由に動かせた。
「日差しが強いからな」
 男はそう言って、大きいタオルケットを首から下にかけた。
 両手がそれぞれ股間と胸に、そしてタオルケット、と意味ありげな姿で尚代は置かれたのだが、実は巧妙な男の計画の内だった。
「念のためだ」
 男は尚代の口にガーゼのハンカチを詰め込み、その上から透明なプラスチックテープで軽く押さえた。しゃべれないが、声や呼吸の自由は残されていた。
 尚代は昨夜からの疲れもあり、ほどよいチェアの傾きとタオルケットにくるまれた安心感からか、睡魔に襲われて、再び眠りに落ちていった。
(さて、次は姉さんか……夏純とか言ってたな。あれもいい女じゃねぇか)
 男はテーブルセットの椅子に腰掛け、これからの責めを考えているうちに、またウトウトし始めた。
 十五分ほど経っただろうか。
 ハッとして目を覚まし、慌てて二人の様子を見た。
 姉の夏純は依然としてベッドの上で芋虫状態で蠢いていた。尚代はデッキチェアのタオルケットの下で寝息を立てていた。
(季節のせいか?緊張感がないぞ。……まずかった。しっかりしないと)


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