ちっちゃなぼくが、おっきな湯ぶねで-1
パパが、「単身赴任先」で急病にかかって入院した。
パパにラブラブなママは いてもたってもいられず、パパのお世話のためにすっ飛んでいった。
(それほど 深刻な病気じゃなかったけど)
だからぼくは、しばらくママの妹の あづ沙さん(「おばさん」とか言うと怒られた)のお家ですごすことになった。
あづ沙さんはひとり暮らしで、しょっちゅう遠く離れたぼくン家に遊びに来てるので、ぼくは嬉しかった。
あづ沙さんのお家は、マンションでお風呂がついてるのに、
「風呂のソウジめんどいねんもん。」
と 近所に古くからある銭湯に行ってた。
ぼくは まだちっちゃい男の子だからと、あづ沙さんと一緒に女風呂に入った。
ぼくはそこで初めて、ママ以外の女の人たちのハダカを見た。
と言っても、あづ沙さんと来る時間帯はオクサマやオバアサマがたが多くて、身体がポッタリしてるかシンナリしてた。
その中に、まるで公園の中に飾られてるヌードの彫刻みたいな 白い肌のきれいなお姉さんがいた。
お姉さんの背中には、肩からお尻にまで届くほどの大きな絵が描かれていた。
黒いサソリと 緑の毒ヘビの絵だった。
サソリはハサミで毒ヘビをつかんでいる。毒ヘビは頭をあげて大きく口を開け、牙の間から赤い舌を伸ばしている。
ぼくはその絵を見るのが好きだった。
だけど間近で見るのは怖かった。距離をおいてお姉さんの背中側にまわって、絵をうかがっていた。