第一章 脅迫されたOL-20
途中、対面座位を楽しんだあと、そこから後背位へと移行した。
その間、最初に挿入してから一度も抜いていなかった。抜く必要などなかった。汐里の蜜壺の中で土橋の男茎は何度精を吐き出しても全く萎えてこず、常に力強く漲っていた。
頭の中に淫情が起こるから、その体現として男茎が勃起するのだと思っていた。だが今の保彦は逆だった。男茎からの蕩けてしまいそうな感覚が脳を刺激して、腰を前後に振らずにはいられない。そして辺り構わず下劣な声を上げて汐里を貪り、貪れば貪るほど次の射精に至りたい欲求に頭が支配されていった。
「おらっ、汐里っ! 汐里ぃっ! このビッチマンコがっ!」
冷静なら言うのも馬鹿々々しいだろう罵倒のセリフを大声で放ち、下腹を盛大に鳴らしてヒップを打突すると、また根元から激発が迫ってきて、
(来るっ!)
陰嚢がせり上がり、蜜壺の中で男茎が不自由を抗って立ち上がり、鬱憤を一気に噴出し始めた。
「うおおっ!」
もう何度目の射精だろう。連続して放出してきたのに、まだ今日一発目かと錯覚するほどの峻烈さ。精液が尿道をビュルンと通過していく感覚に叫ばずにはいられなかった。
「いやあっ……! すごっ、……死ぬぅ……死んじゃう……」
絶頂直後の体に熱汁を浴び、汐里は「いや」などと言っているくせに、むしろヒップを保彦に向かって突き出してきた。
射精で敏感になった尿道を、まだチョロチョロと流れ出る残滓に擽られて、保彦は前屈みになって汐里に手を伸ばし、膝立ちにさせると、性感に張りつめているバストを両手で鷲掴みにした。
そして息を頬に吹きかけて合図を送り、振り返らせる。淫楽に融けて潤む汐里の瞳に見返されると、引き寄せられるようにだらしない、しかし挑発的な唇を貪った。もうグロスが落ちてしまった唇を啄み、いっぱいに伸ばした舌を絡め合わせる。
こんなセックスは初めてだった。愛梨とはとてもできない。
愛梨以前に付き合ってきた女もいたし、一発だけヤった女も何人かいる。だがここまで己の欲望に任せたセックスをしたことがなかった。
ムードを醸し、女を気遣い、充分な前戯を施して「いい気分」にさせてやる。それでやっと体が開き、男茎を繋げることができる。
男とはそういうものだと思ってきた。
しかしこの、唇を貪っている美人OLはどうだろう。
前戯といえば、股座を気遣いなく下着の上から、そして直接、乱痴に舐めただけだ。その後は、解れたとは言えない秘洞へ有無を言わさず巨きな亀頭をねじ込んで律動を繰り返し、何発も大量の体液を注ぎ込んでいる。
なのに汐里は、あれだけ嫌っていたはずの男のディープキスに応じるまでに色堕ちしていた。羞恥を感じさせるための、押し付けのキャラクターではない。今の汐里は「ビッチ」、「淫乱」そのものだった。
汐里を堕落させていく過程で味わった射精に次ぐ射精。精通以来「気持ちいい」と感じてきた精発が、まるで子供だましだったかのように激越な連射だった。
このまま続けることに命の危険すら覚えて、保彦は唇を放し、遂に埋めっぱなしだった男茎を汐里の媚壺から抜き取った。最後に亀頭が秘門を退出する際、花唇に名残を惜しまれたかと思うと、栓が抜けると同時に、信じられないほどの白濁が溢れ出てきた。左右の内ももに沿い垂れ切れずに、ボトボトと脚の間のシーツへ大きな雫玉となって落ちていく。
「やぁん……」
汐里も溢れたのが分かったのだろう。隠したい手は自由が利かないから、腰を艶めかしく揺すり、そんな淫貪な姿を羞じていた。
……絶品のスタイルを呈する美人OLの後ろ姿は、もはや犯し始めた時ほどには保彦を強く誘ってこなかった。
射精後の、いわゆる「賢者モード」とは異なる。その証拠に、男茎はまだ強欲に、時折脈動して亀頭の重みを揺らしている。
スマホを取って時間を見ると、もう深夜だった。二時間近く挿れっぱなしで交わっていたことになる。
保彦を一歩引かせたのは、いくら長時間男茎で掻き回され続けたとはいえ、普段からモテない男は鼻で嗤っており、とりわけ土橋のような汚らしい醜男は大嫌いなはずの汐里が、何度も絶頂し、何度も精液を子宮に流し込まれているのに、蜜壷を搾り応じるまでになった姿を見たからだった。
その形良く引き締まったヒップの間から、漏れ出している白濁。この女のだらしなさを雄弁に物語っている。
二時間にも及んだ陵辱は、保彦から見れば、たった二時間だった。二時間で土橋のような男に自らヒップを突き出すような淫乱に成り下がったということだ。
唇を離された後、ゆっくりとマットレスに蹲り、上躯全体を使って息を荒げている汐里の後ろ姿を見ていると、淫欲にかき消されていた軽蔑心が蘇ってくる。
土橋は汐里ことアスカを女神のように見ていた。その女神を自分だけのものにしようとしていた。
(悪いなぁ、オッサン)
脅迫したのは土橋だが、卑劣な行為の結果、快楽を味わったのは自分だ。女神が堕落していった間の目眩めく快楽を土橋ではなく自分が堪能してしまった。
入れ替わったのは決して自分のせいではないが、なんだか気の毒なことをしたように思えてくる。