ドーナツ屋-1
翌日。
タクミはちづるの家に、
6時頃行く事になっている。
学校が終わり、下校する。
電車に乗りT駅に着くと
タクミと健は友達と別れ下車する。
いつもなら、タクミは北口方面
健は南口方面へと別れ家路につくが
何故かタクミも
南口へ向かおうとする。
健が言う。
「 ? どっか行くの?」
「ん? うん。
腹へっちゃってー。
持たないから
ドーナツ食おうかなと。」
「バイトないの?」
「うん。」
「じゃあ、
俺も行くーー。」
2人は南口にあるドーナツ屋に
向かった。
店に入ると2人は
ドーナツと飲み物を買い、
テーブルに向かい合って座った。
食べながら
学校の話や卒業してからの
予定などをお互いに話す。
しばらくお喋りをしていたが
ふと健が、もの言いたげな目で
タクミを見る。
「、 、、、。」
「 ? なに?」
「、 、、んー? いや、」
「 ? クリームでもついてる?」
タクミが自分の拳を口に当て、
クリームを探す。
「ぁーー。 いや、、。
そういや、昨日さ、 」
「うん。」
「来たよ、うちに。」
「? 何が?」
「、、ちづちゃん。」
「、っ 、、。」
タクミの顔色が明らかに変化した。
しばらく考えた後にタクミが言う。
「お前さぁ、 」
「ん?」
「ちづちゃんって、やめてよ。」
「ふふっ、、 なんでー?」
「なんでって、
なんか、、 いや、まぁ、、
俺もそう呼んでるけど。」
「うん。」
「ほら、まぁ、、あんなだけど、
一応、、 あの人も、大人だし。」
「、 、、ふっ ! 」
りさちゃんの時と
全然違うなぁ タクミ
「、、? 何、」
「あー、、はいはい。
常盤さんね。
ねー、常盤さんてさぁ、、。」
「、、。 なんだよ。」
「もしかして、、。
いや、もしかしなくても。
嘘、ちょーー下手じゃない?」
「、っ 、、、。 」
「違うーー?? 」
「、、どうかな。なんで?」
「なんとなく。
そんな感じしてさぁ。」
「、 、、、、。」
「、、 、、。」
あらーー ?
動揺してる ?
なんか こんなタクミ
見たことないかも
貴重だわーー
健はそんな事を考えながら
昨日のちづるを思い出す。
***
夜中の1時。
健は自分の部屋でベッドに寝転び
スマホで、友達とラインで
雑談をしていた。
スマホを見ていると
画面が変わり、電話がかかってきた。
姉の知可子からだ。
健は電話を取る。
「はーい?」
「ぁ、、あの、もしもし?」
「 ん? ? 」
健は相手の声が姉の声ではない事に
気がつき、スマホ画面の名前を
確認したが、やはり
姉の名前が出ている。
もう1度
スマホを耳にあて、健が言う。
「ぇ? あの、どちら様?」
「ぁ、、私、常盤です。」
「! ぁーー こんばんは、、」
「ぁの、知可子
凄い酔っぱらっちゃって、、。
電話をね?
使っていいって渡されたけど
家の電話は、、夜中だから
健くんのとこに、、、
本人はね、、 寝てる?
ちょっとーーー 起きて?
ついたよーー 〜〜」
「えー? もーー本当、
迷惑かけてすみません。
今、 どこですか? 」
ん? ついたよ って 、、
「あ、玄関です。
もう、玄関前にいるの 」
「 ぇ!?
ぁーーーーー
今、行きますっ 」
健は電話を切ると、
2階の自分の部屋からドタドタと
階段を下りて玄関のドアを開けた。