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尚代
【SM 官能小説】

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暑い夜-3

 そのとき、部屋の入り口のドアがゆっくりと開いた。誰かが部屋を覗いていた。しかし、自分の世界に浸っている尚代は気がつかなかった。
 目を閉じ、眉を寄せている。下唇を噛んで、出てくる声を抑えていたが、しだいに口が緩んで,わき起こってくる喘ぎが止めどもなく流れ出て、もう抑えきれない。
 いつのまにか立てていた膝が崩れて、両脚がピンと伸びている。足の指先がもどかしげに蠢いている。
 規則的なシーツの擦れる音に混ざり、切ない喘ぎが部屋に響く。皮膚の擦れから始まった股間からの音は、ネチャネチャと品の無い、ぬかるんだ音に変わっていた。顎が上がり、膨らんだ鼻孔からは太い息が吐き出されている。開いた秘裂からは、男を求める雌の匂いが立ち上っていた。

 尚代が一人遊びを覚えたのはいつ頃からだったろうか。幼児の頃から兄のバスケットボールに腰掛け、ボールを前後に揺すりながらよくテレビを見ていた。ボールが無いときは父親の太腿によく跨がっていたことを思い出す。
中学生の頃に自転車に乗っていたら妙な気分になり、家に帰るなり、トイレに飛び込み、硬く勃起したクリトリスを包皮の上から激しくこね回した記憶は鮮明に残っていた。
 高校生になってからは寝る前には無意識にしていたようだ。朝起きて指の匂いを嗅ぐと女性独特の匂いが残っていた。
 そんな尚代だったから、夫のいない寝室は毎夜、痴戯の劇場と化していた。
 だれに気兼ねすることもないこの日の夜も、身体の底から声を張り上げて思い切り逝ったのだった。

 すでに部屋に入り込んで潜む者がいることに気がつかず、一度目の軽い絶頂からさらに深い絶頂を求めて、尚代は枕元のボードに手を伸ばす。
 化学カイロに包まれていたピンク色の物を震える手に取った。小型のバイブだった。スイッチを入れると、恥ずかしくなるほどの音で振動した。
「あっ……いいっ!」
思わず声が流れ出てしまう。
 クリトリスにあてるとムチムチと粘った音を立てて刺激が伝わる。震えも気持ち良かったが、化学カイロで熱くなった刺激が気持ちよさを倍増した。火傷するほどの熱さでクリトリス全体が包まれた瞬間、それだけで軽く逝ってしまう。
 そこに機械的な振動が加わると、肢体をくねらせて、ゼイゼイと喉を鳴らしてのたうち回り、ついに果ててしまうのだった。
「あああっ……あっ!」
 可愛らしい顔を歪め、獣のような低音を張り上げて満足した尚代は、納まらない痙攣に震えながら絶頂の余韻に浸っていた。
「あうっ……ううぅ」

 まどろんでいた尚代が、そっと目を開けると、自分を覗き込んでいる黒い影があった。
(えっ……何っ)


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