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菩薩恒作衆生利( ぼさつこうさくしゅうせいり )
【ロリ 官能小説】

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エピローグ-1

夜、祭壇の前にビクトルは座っていた。部屋の景色が忽然と消え、空間に三人の輝く人影が現れた。
「半期の報告が上がった。フレデリーケの件はやり過ぎだぞ、ビクトル。ティグレーニョの意識にまで干渉して。管轄の違う動物界に繋がって、よく咎められなかったものだ。私たちは現代の掟に従わなければならない。」
「はい、マスター。妹を助けたい一心でしたので。それに誠くんを信じていました。」
「体は良くなったが、フレデリーケは力を失って、誠くんと新たな因縁を作ってしまった。」
「ミハウ、それでいいのよ。これから、あの子は新しく育つ。会ったことは誠にも良かったのよ。」
「確かに、フレデリーケをマジャールにやったのは、あの子の力があの子にとって危険だったからだ。第一線にある私では、守ってやれなかっただろう。」
「お父さん、前から考えていたのですが、私はオーストリアかマジャールの大師がたのために働くべきなのでは?」
「ビクトル、東欧の大師が仰った通り、お前は日本にいるべきなのだ。私がオーストリアにいるのはマジャール人だからだ。マジャールはオーストリアのために、オーストリアはマジャールのために。しかしマジャールとオーストリアは日本のために。日本の大師がお前を呼んでくれたことを忘れるな。ミハウ、大師の名において、息子を頼むよ。」
「ああ。大師の栄光に感謝。東は西のために。古い全体を超えていき、個人の意志を生かすことが私たちの使命だ。自らの血に従って生きようとすれば、古きに引き戻す者の誘惑に負ける。」
「分かりました。ところで、マスター、誠くんを同志として推薦したいと私は思っています。彼の心はいい。マスターもお分かりでしょう?」
「ビクトル、個人の人生に対して、私たちはあくまで裏方なのだよ。時が来るまでこちらから姿を見せるべきではない。そして、その時は遠いかもしれないのだ。」
「きっかけは、与えたいと思います。」
「あまり思い詰めないでね。ここは一つの道に過ぎないんだから。大師がたのお考えは計り知れないのよ。」
「例えば、私にはイーラの未来が読めませんでしたし、今でもそうです。あの子は何か得体の知れないものを持っているのでは。でも誠くんと会ってからあんなに変わるなんて。やはり彼には協力してもらうのがよいかと。」
「イーラのことは私にもまるで読めないことだった。私が自分の自由意志で、彼女の地上生活に介入する形で引き取ったためだ。彼女の守護霊はそれを是と仰った。他方、誠くんが来ることは分かっていた。そして彼女の天上生活を導いたのは誠くんだった。だがね、イーラのほうが誠くんを導いたとも言えるのだ。ビクトル、言いたかったことがある。お前も女性を知っておきなさい。そのほうは誠くんから学ばなかったのか。」
「しかしマスター、それでは進歩が遅れます。私にはこの修練が向いているのです。」
「お前の進歩が遅いのは、臆病なのと、頭が堅すぎるからよ。あたしが生きているうちに曾孫の顔を見たいもんだよ。」
「お母さん、家族のノイズを出さないでくれませんか。まあ、考えておけ、ビクトル。大体、そのごみ箱はいつ洗うんだ? いつも乳香に混ざってにおってくるぞ。案外、好きなんじゃないのか。では、終わるぞ。」
空間は消え、部屋は戻った。自分のことを随分言われたものだと反省しつつ、はて、ごみ箱とは何のことかとビクトルは訝った。
ビクトルはごみ箱を覗いてみた。ごみ箱の底では、何年も前にラサのした小便が、そのままの温かさで、女らしいにおいを香り高く放っていた。

一切有情如来蔵
一切有情金剛蔵
一切有情妙法蔵
一切有情羯磨蔵


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