手紙-2
「お母さん。会いたい。でも、困る。」
イーラの気持ちは、本人でなくともよく分かった。母親は、知らない人たちとの関係を携えてくる。言葉はまたもや通じない。ドンブロフスキー家とうち、内海家のあいだで宙吊りの状態にあるイーラに、もう一本、紛らわしい糸が絡まってくる。ただ、手紙の主は本当の親であり、恐らく、イーラの手が届く唯一の血族なのだ。
「お兄ちゃん、抱いて。なんだかあたし、前みたいになるかも。怖い。」
「僕がいるから大丈夫だよ。」
自信を持ってそう言えた。動けなくなってしまったら、僕が世話すればいいだけだ。僕はイーラのために生きる。だが、イーラが生きるためには、そうなってはいけない。
僕は、イーラの肌に当てた唇を、首から臍へ下ろしつつ言った。
「落ち着いて考えよう。来てもらうんじゃなくて、会いにいったら? イーラがお母さんと話して決めるんだよ。僕も付いて行こうか?」
濃いにおいが僕の鼻を刺激した。唇が、柔らかい毛にくすぐられ、女の子の濡れた溝に届いた。
「そこ、されたら、考えるなんてできないよ。」
イーラの体の歓びは、観念の不安をたちまち消し去って、僕を仲間に引き入れた。