変わること、変わらぬこと-2
四月からラサは、希望していた高専に通っていた。よく頑張ったものだ。遠いので、朝は早く、晩は遅く、めっきり会うことが少なくなった。土日も部活動だ。ときたま会えば、生き生きと学校のことを話すのだった。
「クラスの子より二年遅れてるけど、友達もたくさんできたし、やっぱり行ってよかったわ。」
白の夏服が爽やかに見えた。色気が気品に変わりつつあった。
イーラも生活は学校が中心だった。友達と遊んで帰りが遅くなったら、朝しか会わないときさえある。
僕の今の仕事は、イーラの朝食を作り、前の日のイーラのものの洗濯と、部屋の掃除をするくらいだった。土日に昼食作りが加わるほかは、することがなかった。
空いている時間、受験生並みに僕は勉強した。暇に任せて、好きでなかった運動まで、一人でするようになった。イーラが動けなかった頃とは正反対の、自分に集中した生活だ。
帰ってくるとイーラはすぐ宿題を始める。大抵はノート整理のようなものだった。色鉛筆をふんだんに使い細かく仕上げるのだが、僕の手伝いは要らない。
僕自身にとって、ここにいることがどうなのか、本格的に悩むようになってきた。
ビクトルは運命に向き合えと言ったけれども、ラサの現在は自分の意志で開いたものだ。
今の僕があるのは、この農場に来ることを決めたからだ。そのほかは、出会いと成り行きに任せてきた。任せざるを得なかったところもあった。教師になろうとしたこともあった。あとは自分では何もしていない気がする。
ドンブロフスキーさんは僕をそのまま受け入れてくれている。お金も貰っている。けれども、僕は果たして自立しているのだろうか。