ラサとビクトル-4
知らない部屋でラサは目を覚ました。なぜここにいるのか全く記憶がない。酔いが少し残っているが、それとは違う頭痛がする。胸も痛かった。
体を起こすと、裸だった。ひどい尿意を感じたラサは、咄嗟に近くのごみ箱にしゃがんで用を足した。緊張がゆるまず、いやな残尿感があった。
紙はない。脚に垂れてくるのを気持ち悪いと思いながら、ラサは立ち上がった。
窓から明るく月光が差し込んでいた。狭い木造の家屋である。どこかの喧騒が聞こえる。街に近いのだろうかと思った。
部屋の隅には大きな祭壇があり、額に入った写真がたくさん壁に掛けてあった。記念写真などでなく、肖像だった。中世の服装をした人物の絵もあれば、白黒の古い写真もある。ラサはその中に、ドンブロフスキーを認めた。