「伊勢物語」に憧れて-1
【序】
正直、自分のようなズブのシロウトが、長長と妄想を書いてても仕方ない。
ましてや自分には「謎が謎を呼ぶ」とか「すべての伏線が、一点に集まる」とか言うような構成力はない。
だから徹底的に短い、スジ書きを並べ立ててみた。
【第一筋】
〔そこに異なる高校に通う、同学年の男子と女子あり。休日に二人電車に乗る。並んで座るが、互いに目を合わさず話しはじめる。〕
「あなたは、私のことがキライでしょ?」
「はい、大キライです。」
「それはなぜですか?」
「僕が好きになった人を、みんな奪うからです。」
「それだけですか?」
「まだ僕に、ほんとの顔も見せないからです。」
「よろしい、よく言えました。
いい子いい子……。」
「私は そんな正直な
きみが大好きだから
今日も、私に
お供してちょうだいね。」