苛立ち-1
ちづるはパタパタと寝室へ行き、
布団に入る。
タクミは、しばらく
ソファーに座りうつむいて
考えていた。
「、 、 、、っ 」
なんで何にも
言わないんだよ
俺に ムカついたんだろ
責めりゃ いいじゃねーか
それで?
1人で気持ちの整理 ?
別れる為の 心の準備?
そんな簡単に俺の事
諦める訳 ?
「、、 、っ 〜っ 」
なんでこんなに
イラつくんだ
っつーか 俺
何やってんだよ
しばらくしてタクミは
寝室へ行く。
豆電球の部屋でちづるは
壁の方を向き、
タクミに背をむけて
布団を頬までかけてうずくまっている。
「、 、、俺も 寝る。」
泣いてる ?
「、、ぁ、 うん、、。」
「、 、、。」
泣いてないか
、 、 、、。
タクミは静かに布団に入ると
ちづるに背をむけてうずくまる。
1つの布団の中、
2つの背中はほんの少しだけ
くっついている。
しばらく2人は、
布団の中で眠れずにいた。
20分ほど経つが
2人ともまったく眠れない。
ちづるが、
布団から静かに起き上がる。
音を立てないように
襖をあけて押し入れから
もう1つ、掛け布団を取り出した。
それを持って、
タクミに静かに言う。
「タクミ君、、 寝ちゃった?」
「、 、 、 、、。」
「私、、
今日はあっちの部屋で寝る、、。」
「、 、、、。」
「話、聞けなくてゴメンね。
、、、。」
「、 、、。」
「、、、おやすみなさい。」
ちづるは静かに、
寝室から出ていった。
タクミは、
胸が潰れそうな気持ちで
布団の中でうずくまっていた。
布団の中でも頭が冴え、
うるさいほどの思考に
苛立ちが治まらない。
隣の部屋へ、ちづるの元に
行こうかと考える。
しかし、タクミは
ちづるが自分の元へ来るのを待った。
自分の事を
責め立てにきて欲しかった。
殴られてもいいとさえ、思った。
しかし、
10分ほど経っても
ちづるは寝室へはこなかった。
「、 、〜っ 、」
タクミは
ついに耐えられなくなり
ちづるの元へ向かった。