ただいま-2
「ここ、置いとくね。」
「ありがとう。」
タクミはマグカップを
やかんの隣に置いた。
ちづるは洗い物をしながら
マグカップの絵を見て呟く。
「星の王子さまは
私には難しいなぁ、、。」
「 え?」
「あ、、なんか、お話がね。
小さい頃に1度読んだの。
小学3年? ぐらいかな。」
「うん。」
タクミは洗い物をしている
ちづるの後ろに立って話を聞く。
「その時、思ったの。
『このお話は
もっと大きくなったら
きっと、
ちゃんと理解できる。』って。」
「ふーーん。
小3では難しすぎた、みたいな?」
「そう、、私にはね。
30%ぐらいしか
分からない感じしたの。
大きくなったら
きっと分かるって、、。」
「うん。」
「そんで、次に読んだのが
6年生ぐらいだったのかな。
予感は当たってて、
60%ぐらい理解できた!
って思った。」
「ふーん。」
「そんで、、まぁ、
それ以来読んでなかったんだけどね。
久しぶりに昨日、読んだんだよ。
懐かしいなーって思いながら。」
「そっか。じゃー、、、
大人になったから100%理解出来た、
みたいな?」
「、、ふふっ それがねぇ、、」
「 ?」
「60%の、ままだったよ。」
「え? そーなの?」
「恋愛の
描写があるんだけどね、、。
あ、行こっか?」
ちづるは紅茶を2つ持つと、
ソファーに座ろうと歩く。
タクミも、一緒にソファーに座った。
ちづるが続けて話す。
「恋愛の描写だけ、、
よく分からなかった?
ってゆーか、共感出来なかった。」
「恋愛の?」
「うん。
主人公の王子さまはね、
大好きな人を残して地球に来たの。
それで、、
離れた事によって、
自分がどれだけバラの花を、、
あ、その大好きな人を
どれだけ大事だったか
気がつくんだけど。 」
「離れて
大事さに気がつく、、か。
歌の歌詞でも多いよね。」
「うん。 でも、そこが、、」
「うん。」
「私には分からない、、かな。
分からないってゆーか、
私の中には、ない。」
「、 、、。」
「離れる時は、どっちかが
もしくは両方が冷めた時だし、、」
「、 、、。」
「会わないと、どんどん
忘れていくよ。」
「、、、。」
「こっちのが
普通の事じゃない?」
「、 、、。」
「でも、、んーー、、
違うのかなぁ。
星の王子さまの
あのバラの話の所、、。
共感する人のが多いのかなー。」