週末-2
タクミの家のキッチンには
2人がけの小さなテーブルと椅子がある。
母親が無造作にテーブルに置いた
ビニール袋の中の寿司を、
タクミはガサガサと取り出す。
「ぉーー。
豪華だねー。」
「、、もう、沖縄も行かない。」
「あ、ワサビ、、うちないっけ。」
「 はーーー。
むかつく。」
「あ、入ってた。良かった。」
「自分の事しか考えてない。」
「食べようよ。」
「ねぇ、、聞いてる?」
「んーー?
先に食うね。」
プラスチック容器の蓋を、
皿がわりにしてタクミは
寿司を食べ始める。
母親もふてくされた顔をしながら
同じように蓋を皿がわりにして
食べ始める。
食べてる間、
独り言のような愚痴を
ずっと言っている。
話によると、
付き合ってる男が黙って
他の女性と飲みに行った、
との事だ。
タクミの母親はそう説明しながら、
どんどん感情的になってゆく。
「しかも
私に子供がいる事、
勝手にベラベラ話したの。その女。」
「はぁ?
付き合ってんのに言ってなかったの?
お前さー、、。
前も似たような事なかった?」
「、 、 、、」
「ぁーー、、、。
はいはい、マリちゃん。」
「言おうとしてたよ!
なのに、、。
ってゆーか私は、、。
飲みに行ったのが、もー嫌。
なんで黙って行くの?
本っっ当、引くわ。」
「じゃー、
行っていいか聞かれたら
いいよって言ってた?」
「は?
言うわけないでしょ?」
「、、。これ、美味しいね。」
「向こうは友達だから、
の一点張りだし。
あり得ない。
しかも、
向こうのが付き合いが長いから
とか言うんだよ?
付き合いが長いから、なんなの?
私が嫌がってるなら長い付き合いでも
切ってくれるのが
大人だと思うんだけど。
しかも私になんて言ったと思う?
その女と友達はやめないって。
っ はーーー。
だからさっ、
私我慢出来なくなって
その女に電話するって言ったら、
〜っ
ねぇ、聞いてんの?」
「 へ?」