第7章 発泡浣腸の恐怖-9
第7章 発泡浣腸の恐怖(9)
腹の中で冷えた浣腸液はゼリーのようになり、排出物を包み込んでくれる。しかも発生した二酸化炭素で腸は膨れるので、腸の隅々まで宿便が取れるということになる。まさに腸内の大掃除である。
肛門の近くにはボードが用意された。この準備の時間が、美弥にとっては途方もなく長い時間に感じられ眼は虚ろになり肩で息をしていた。
「もう出させて。苦しい。……げふっ……」
額に油汗が出てきた。二酸化炭素のガスが腸内を逆流して何度もゲップが出た。吐き気も出てきた。
「そろそろ固まった頃でしょう。あまり長くすると、腸の蠕動ができなくなって腸が腐ってしまうわ。ストッパーを外していいわ」
蠢いて盛り上がったお尻の穴からようやくアナル栓が外された。
(早く、早く……ああっ……)
そのとたんにバンッバンッと、勢いよくゼリー状の塊が飛び出し、肛門の出口においた衝立のボードにぶつかり、ゆっくりと下に用意してある受け皿にすべり落ちていった。
透明なゼリーの中に茶褐色の塊がくるまれて入っていた。
「痛い。止めて」
ユキが美弥の腹をまた揉み立てている。
「ああっ。……しないで!」
美弥が泣き叫ぶが、ユキはかまわず揉み続けた。
ボハアッ、バホーン。
肛門が精いっぱい膨らんで猛烈な量のガスが出ている。
みるみる美弥の腹がしぼんでくるのがわかった。
たちまち、受け皿にはカエルの卵のようなゼリーにくるまれた宿便が盛り上がっていった。いつまでも下品なオナラが続いていた。
それもすごい音であった。ブビッ。バフッ。いつ果てるともなく奏でられ続けられた。
美弥は、また気を遠くなっていった。
「よく探すのよ……」
衝立の下では、マヤとユキが、カエルの卵の中で、懸命にフィルムをさがしていた。
そのとき、キシュュュュッという音がして、美弥の大きく拡げられた女の溝から、何度目かの尿が迸った。
「あっ、また……」
ユキの声に、マヤは美弥の股間を見上げた。そのシャワーのように激しく飛沫いて降り注いでくる様子をマヤはじっと見ていたが、やがて瞳の輝きが変わった。何か閃いたようだ。
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