告白-1
僕の性癖を全て妻に話した。野外露出やSMに興味があり、それで自慰を行っているといい、ネットに転がるそれらの動画を見せた。モニターの中で繰り広げられる光景に、妻は唖然とするばかりだった。
「人に見られたって、恥ずかしいだけだし……叩かれたって痛いだけだし……」
モニターを訝しげに見つめる妻に、僕はこんこんと語った。変態と思われても仕方ない。だが、自分の性癖を変えることはできない。ふにゃふにゃのペニスをしごき、射精した後はいつも決まってひどい後悔の念にかられる。自分が情けなくて仕方がないと。
「どうせなら、せめてお前でオナニーがしたいんだ!」
僕には、妻をそこへ駆り立ててゆく気力も、ペニスにその能力がないことも語った。妻の姿で射精して、こんな動画を見るのをやめたいと力説した。彼女は昨夜から今日にかけての、僕の不可解な言動を理解したようだった。
「俺はお前に悦びを与えたいんだ! 女の悦びを! お前にも与えたいんだ!」
彼女の手を僕の股間に持ってくる。
「でも……これでは無理だろ?」
妻はそれを否定して首を横に振った。太田君と肉体関係をもち、女としての悦びを存分に味わって欲しいといった、許容できる範囲でいいから僕の性癖に合わせた内容のプレイを撮影して欲しいとも、率直に頼んだ。妻は悟りをひらいたように僕の言葉を受け止める。
「あなたは、ほんとにそれでいいの? 私がほかの男性と性行為をすることを許せるの?」
それこそが僕の望みだと答えた。
「愛しているからこそ、頼めるんだ」
彼女の手を強く握りしめる。しばらくの沈黙の後、彼女は小さく、コクリと頷いた。
僕は立ち上がり彼女を強く抱きしめ、そして口づけをした。
「たぶん……私には……無理かも……知れないけど……」モニターに流れる過激な動画を見つめながら彼女がささやく。
ありったけの愛を妻にぶつけ僕の全てをさらけ出した。彼女は、やがていつもの明るい元気な妻に戻る。
「うん。で、できるだけ、頑張ってみる」
「出来る範囲で構わないんだ。くれぐれも無理はしないでくれ。あくまでもお前の悦びが俺の喜びなんだから」
妻の細い腕が、僕の背中をギュッと抱きしめてきた。
その夜、僕たちは七年ぶりに裸でベッドにもぐり込み、直接触れ合う肌の温もりを楽しんだ。軽いキスを繰り返し、何度目かでそっと舌で唇を愛撫する。彼女は呼応するように口を開き僕の舌を受け入れる。舌と舌を絡め合わせる。彼女は決して僕の口の中に舌を差し込むことをしない。どんなに興奮していてもそうだ。そんな彼女に高い自尊心と女性の恥じらいを覚えた。僕は彼女の口腔内で舌を愛撫した。深い口づけを楽しむと、舌先は彼女の乳房に移動する。太田君に犯された乳房や乳首を丹念に舐めあげ、その舌はやがて、彼のヒザに犯された秘部へと到達する。包皮に包まれたクリトリスを優しく舐める。僕は彼女のクリトリスを見たことがない。愛撫が下手なのかと悩みネット等で調べたところ、男性に仮性包茎や真性包茎があるように、女性にも個人差があるらしい。彼女は男性で言うところの真性包茎だ。舌はそのまま膣へと向かい愛撫を続ける。酸味と共にほのかな塩味が口に広がる。久しぶりに味わう女の味だ。彼女の膣口を丁寧に舐める。僕の唾液に濡れる秘部がほんの僅かな水音を立てた。彼女はあまり濡れない。これもやはり僕の技量不足かと悩んだが、個人差があるらしい。左右にせり出すほんの小さな小陰唇を舌先で転がす。彼女の小陰唇はまるで未成熟な少女のそれのように小さい。そんな彼女の小陰唇も丹念に舐める。舌で秘部をくまなく愛撫しながら、頃合いを見て僕は彼女の顔をまたぎ、申し訳ない気持ちでふにゃふにゃの小さいペニスをゆっくりと、了承を得るように唇にそっと近づける。彼女は決して自らペニスを口に含むことはしない。これも女性としての羞恥心だろう。機嫌を伺うかのようにそっとペニスを差出し、ゆっくりと閉ざされた口に押し付ける。すると、やがて彼女は恥ずかしげにペニスを口に迎え入れてくれる。その分、口に含まれた時の興奮はすさまじいものだ。口に含んだふにゃふにゃの小さいペニスを、舌で愛撫してくれる。ずいぶんの時が過ぎた。「うっ!」僕は彼女の口の中に精子を放った。
起き上がり、彼女の大切な部分をティッシュで拭いた。その間に、彼女は口の中の精子を、幾重にも重ねたティッシュに吐き出し唇を拭う。七年前までは毎日のようにしていた、終わりの儀式だ。彼女は精子を決して飲まない。これも女性としての恥じらいだろう。自分のペニスも拭き、洗面台に並び二人して歯を磨いた。鏡に映る彼女にありがとうと言う。彼女は微笑みで返す。
「明日から、頼むぞ」僕の言葉に彼女は抱きついてきた。
翌朝、出社前に再度 昨夜のことを確認する。
「まかせとけ! 頑張るぞ〜! おばさんパワー全開だ! やれるとこまでやってやる」
妻は満面の笑みでガッツポーズをして、おどけて見せる。いつもと変わらぬ明るく元気な妻だった。
僕は全てを妻にさらけ出した。
だが『メス豚みゆきの創り方』というブログだけはなぜか見せないでいた。