アフリカの女-1
黒く光る滑らかな肌のあいだから、優しい桃色が、また光るように現れた。開いた形は、女のものとしては単純なほうであった。明らかに、男をまだ知らない生娘だと分かった。口の中よりも水気があって、流れこぼれていた。
「ねえ、そんなに顔近づけて平気なの? やっぱりお風呂に入るの、先じゃないの?」
「今日は任せるって言っただろ?」
「そんなところ、恥ずかしいよ。汚いし、なんか、ぬるぬるしてるでしょう?」
「女の子はみんなそうだよ。」
鉄矢は当然のことのように唇を当てた。
細かく縮れた少なめの毛がある辺りから、強いにおいが鼻を突いた。鉄矢が初めて嗅ぐ外国人のきついにおいだった。真面目な若い女に付きものの白い汚れもそこここにあり、総じてそこは、人も獣の仲間であることを思い知らせる動物的な臭みをさせていた。けれども、そこがにおえばにおうだけ、鉄矢の男の血はたぎるのだった。
目を上げてみると、息づかいに合わせてはっきりと谷間を幾つも作る筋肉のうねりと、硬く立ち上がった乳房が新鮮だった。全てが黒く、落ち着いた夜の深みを感じさせた。
閉じがちな女の腿を鉄矢は力で開いて押さえつけた。そして吸った。舌を入れた。女が身をよじり、声と共に仰け反った。鉄矢の舌は、小刻みに閉じ開きする動きで何度も押し出された。女が一度大きく息を吸った。鉄矢の腕も押し戻される力で挟まれ、幾筋か、温かいものが鋭く鉄矢の顔を濡らした。そのあと、女は気を失ったように身を投げ出していた。
大学へ向かう鉄矢は、毎朝、道を走っているこの女と顔を合わせていた。目に映る姿はアフリカの人間だった。この町ではアフリカ人は珍しいから、女は鉄矢の気をたちまち引いた。しかも女は美しかった。小柄なのにそう見えない。頭も体も小さく出来ていて、均整が取れている。手脚は細く長く、だが、近くで見れば鍛えた強い腿なのだった。胸は張り、腰も大きかったが、それが体つきに調和した敏捷さの印象を与えていた。
ある時、女は知らずにイヤリングを落とした。それを鉄矢が拾って声をかけたのが始まりだった。
女はまだ十八だが、陸上の選手として企業に入っているとのことだった。走るのはその毎朝のトレーニングなのだそうだ。あまり友達がいないと言うので、一緒に出かける約束を持ちかけてみると、女はすぐに受けた。