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君が泣かないためならば
【女性向け 官能小説】

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「明日香は能天気すぎ」
ハァ、とため息をついた啓に
「啓ってブラコン?」
そうからかいながら振り向いたら
私の髪が啓のYシャツのボタンに引っかかった。

「あーっ。もうっ」
少し無理やりに髪を引っ張って取ろうとしたら
啓の大きな手で頭をコテンと啓の胸に引き寄せられた。

「引っ張るなよ」
そういいながらやさしく髪をほどこうとした。

それでもなかなか取れない髪に
「ねぇ。ほんの数本でしょう?切っちゃう?」
そういいながら私はバッグの中のハサミを探す。

「だめだよ」
啓は苦笑いをしながら、根気強く私の髪をボタンから外そうとする。

「明日香のこの髪好きなんだ。もうちょっと待ってて」


「ねぇ。啓?」
「ん〜?」
「私のことが好きって、本当に好きなの?」
「・・・気が付かなかったか?」

なんとなく、感じてはいたけど。
啓は自分の気持ちを一方的に言って私を困らせるようなことはしないから。

「もう少し。待ってて。もうとれるよ」

会社からは続々と帰る人たちが出てきて、
ぴったりとくっついて立っている私たちを横目で見ながら通り過ぎていく。






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