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君が泣かないためならば
【女性向け 官能小説】

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-3


「おい、明日香。ここから一人で大丈夫か?」
啓はタクシーから降りようとしない。

「俺、もう終電もないし、このままタクシーに乗って帰るよ?」
「部屋まで送っていってよ。 運転手さん、この人ここで降ります」

無理やり腕を引っ張ってタクシーから降ろして逃げないように腕を絡めた。

「あのさ、もう終電はないって言ったよな?」
「いいでしょ。部屋まで送ってくれたって」

軽いため息をつくけど
結局は送ってくれるってわかってる。
なんだか寂しくて。このまま1人になったら泣きそうだ。

部屋の鍵を開けて、私の靴を脱がせてコートを脱がせると
そっとベッドへ私を横たえた。
「水飲むか?」
「ん〜・・・」
「明日香、飲みすぎだ」
そういって、起こした私に水を渡す。

お水を飲む私を見て
「まだ、重田さんが忘れられない?」
そんなことを、ゆっくりといった。

私はその言葉にビクッとした。
「え・・・と」
「責めてるわけじゃないよ」
「うん」

「おいで。抱きしめてあげる。
今日は俺がずっと一緒にいてあげる。
俺を無理やりタクシーから降ろしたのも、一人になるのが嫌だからだろ。
大丈夫。一緒にいるから。我慢しないで泣いちゃいな」

「・・・ばか」





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