離れていく二人-1
「ふーん、そんな事が…悲しいな。」
この前の電話のやり取りを打ち明け、そう一言感想を述べ、澄ましたような顔で目を閉じ
片手でグラスを掴み、ストローでメロンソーダを吸い上げる。
カップとドーナツを避け、額をテーブルにつけたい気分、けど流石に公衆の面前でそのような真似は出来ず、力なく目の前にあるコーヒーを見つめるばかりだ。
「今思えば本当に後悔してる…、何であんな事優華さんに言っちゃったんだろ。」
そのせいで優華さんはおろか佐伯君とも電話出来る状態、いやする自信が持てず。
「でもそれってアンタのせいじゃないじゃん。」
「いや、それは。」
と、グラスをゆっくりテーブルに置く巴ちゃん。
「だって元は言えばそうやって喧嘩した二人が悪いんでしょ、つーかそんな話をしたあたるが一番悪い、だってそんな話打ち明けなかったら丸く収まってたんでしょ?」
「でも、優華さんに酷い事を、それで消えかかってた火に油注いで…。」
「そんなの向こうが勝手に激怒しただけ!アンタは彼を想って少し興奮しただけ!」
「巴、ちゃん。」
「とにかくまた電話してみたら?」
「でも…。」
「向こうだって言い過ぎたって反省してるんじゃない?」
電話、かぁ。
「案外謝って来てくれて、また今まで通りの楽しい通話になるんじゃない。」
「私、自室でお茶しながら彼と会話するのが一番の楽しみで…。」
「でしょー?あーでもあんま長電話するとお爺さんも迷惑かな。」
「そんな事ないよ、最近お客が増えて忙しくて、働き盛りよ。」
「そっかぁー。」
気持ちが何だか軽くなってきた、巴ちゃんに相談して本当に良かった。