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恋のMEMORY
【少年/少女 恋愛小説】

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-4

「それでさぁー、今度インコ飼いたいって、まぁ家族が増えるのは良い事だけどさぁ。」
「……。」

彼との会話、それは本来であればとても楽しい筈、それなのに…。

「優華さん、それは駄目ですって、あれじゃー将来尻に敷かれるなっ!」

陽気に語る彼の話にもはや此間までの嬉しさは感じられない、だって全てが嘘に聞こえるんだもの…、私に気を使ってるんだろうけど。

「でさー学校でもまたモテて、あっでも俺が好きなのは勿論君だけで。」
「知ってます。」
「だろう、なら。」
「知ってますよ?本当は優華さん達、なぁーんにも仲直りしてない事も。」
「えっ?どうしてそれを…いや、そんな事は。」
「止めてよっ!嘘つくのっ!」
「い、いや嘘じゃねーよ。」
「苺狩り…、皆で楽しんできたって。」
「そうだよ、それで。」
「そのイベント、この時期はやってないのよ?」
「!、そ…それは、うっ…ご、ごめん。」

嘘を認め、弱気に謝る…でもそれは私に気を使っての事、向こうでも自分は楽しく上手くやってる、その方が気が軽いだろうから…。でもっ!私が許せないのはそこじゃない、何で…よりにもよって早乙女先輩何かに私に黙って本当の事を打ち明けたのか。

先輩のせいで私は色々と傷つけられた、無論悪意に満ち溢れた告げ口する彼女も頭に来るけど元はと言えば彼がっ!

「殴られたんですってね?」
「あぁ、怒った兄貴に、ちょっと。」

聞くとお兄さんはあの馬鹿親父さんと違って酒ばっか飲むような人ではないけど、怒ると
誰にも止められないような所があって。

やってあの嫌な生活から抜け出せて、聞きたくもなかった彼の不幸、これじゃー前にここに居た頃と変わらないのでは…、そう考えると胸が苦しい。

「お兄さんにはがっかりですね、良い人そうに見えたのに、これじゃーあの馬鹿親父さんと変わらないですよ。」
「なっ!」
「佐伯君っ!一度帰って来て下さいっ!そしてゆっくりまた対策を練りましょう!」
「バカ言ってんじゃねーよ!」
「えっ。」
「兄貴をそんな風に言うなよっ!」
「で、でも。」
「確かに兄貴は俺に手を挙げた、でも後になって反省したんだ。」
「でも、そんな危険な。」
「だからやめろってアンタに兄貴の何が分かるんだよっ!兄貴は兄貴は俺が小さくてそして兄貴自身もまだ小さい時でも何時だって俺の事を優先にして、自分の事はいつだって二の次で。」
「わっ、私はただ貴方の事が心配で。」
「…だからって態々監視するように周りの人をとやかく言って良いのか?」
「それは。」
「兄貴、…そうそう優華さんだって、此間は言いそびれたけど、君彼女に相当失礼な事を
言ったんだって?」
「あれは。」
「例の喧嘩だろっ?でもあれだってただの軽い口喧嘩だったぜ?」
「でっでも、お兄さんが浮気を。」
「あれはちげーよ!後で俺、いや俺と優華さんも疑ってちょっと兄貴の後を付けたけど本当にそんなんじゃなかった、彼が購入したっていう腕時計屋の主人とも楽しそうに談笑してたみたいで…。」
「そ、そんなぁ。」
「俺、言ったよな?大丈夫だって…。」
「で、でも。」

嘘、そんな事って。

「君が彼女に身に覚えのない事で言いがかりをつけてくれたお陰でもう優華さんもの凄くイライラして、それで兄貴に奴当たりして、そのせいで俺も…。」
「そんな…。」
「行き過ぎも少し考えもんだな。」
「……。」

それから電話は切れた、私も返す言葉もなく…。

私が、彼を心配し過ぎたせいで、こんな…事って。

次回、30話に続く。


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