二人目大成功-1
山田さんは微笑んだまま固まっていた。
目の前の守衛さんもいつも通り仏頂面だが動かない。
守衛さんは先ほど魂を抜いておいたのだ。
「ふぅ〜 うまくいった」
返事をしなかった時の事は考えていなかったので内心ヒヤヒヤだった。
山田さんの目に光がないけど、あまりの綺麗な顔に見とれてしまいそうになる。
「すっげー美人」ここで吸い付いたら止まらなくなる。
それに成功噛みしめてる余裕もない。
「ちょっと守衛室借りるよ」
魂のない守衛さんは何も言わないので遠慮無く使わせてもらおう。
山田さんの小さく上げている手を掴み引くと、倒れないように歩きだした。
さっき指先が触れて喜んでいたのに、今は手を掴んでいても、それほど感動がない、
たぶん、ほぼ僕の物になった安心からだろうか？
そのまま守衛室に引き込むとパンプスのまま上がってきた
「あ、土足はだめだよ」
山田さんのパンプスを脱がして奥の部屋に連れて、
壁にかけてある上着を山田さんに着せてから。
「ここにいて」と頭をポンポンと叩いた。
社用車の鍵をもって守衛室の隣にある立体駐車場に向かい番号を押す。
長い時間待たされたが、車庫のシャッターが開き社用車が現れた。
急いで守衛室に戻り、山田さんのパンプスを持って、彼女を連れて行く。
守衛さんの上着をきて、守衛室の隣だけど人に見られたら終わりだ。
細心の注意をはらって車の所に連れて来た。
「山田さん、ここに隠れていてよ」
車のトランクに山田さんを押し込めた、
足を曲げパンプスを投げ入れて、
「ちょっと狭いけどすぐに定時だから我慢してね」
彼女の持っているカバンの中から手帳と携帯を抜いてトランクを閉める。
閉まる時、彼女と目が合った。
車に鍵をかけ立体駐車場のボタンを押す、
山田さんの入っている車が上に吸い込まれていった。
悠長に眺めている場合じゃない、仕事に戻らないと。
戻りながら、僕の携帯からメモリーカードを取出し山田さんの携帯に挿す。
電話番号からメールや写メなど全てのデータをコピーさせながら自分の席についた。
長いトイレだなと先輩になじられたけど無視だ。
誰も僕の机に置いてある携帯が変わった事など気づくはずもない、
画面にコピー中の動画が流れていて、しばらく掛かりそうだ。
その間、何度か携帯に着信があり、コピーし終わったらすぐに電源を落とした。
もう、この携帯は電源を点ける必要がない。
次に手帳を開くと仕事のスケジュールがびっしり埋まっていた。
ハートや意味の分からないシールが貼ってあり、来月には旅行に行く計画があった。
「旅行は永遠に延期だね」と心の中でつぶやく。
山田さんのスケジュールは今日から僕の性欲処理一色だ。
栄えある二号様だ。
「これは……」
アドレス欄に山田さんの住所が書いてある。
さっそくネットで場所を調べて印刷した。
「寄り道してみるか」
もし一人暮らしだと大当たりだ。
定時の鐘がなり同時に帰る、仏頂面の守衛さんを通りすぎて、立体駐車場に向かう。
車を呼び確かめるためトランクを開けると山田さんがいた。
新鮮な空気を吸うように顔を上げたとき目があった。
汗で張り付く前髪が神秘的に見える。
「すげー美人」
社用車のトランクから顔を出している美女を見てたら、
すでに僕の物になった征服感にしびれた。
よく見ると頭から背中まで汗をかいて濡れている。
暑苦しかったのか息が荒い。
「ごめんね、暑かったかい？ これからキミの家に行くからね、引っ越しの荷物取ってこようか」
体だけでなく部屋まで物色されるんだねと思うと、下半身がうずいてきた。
「ヤバイ理性が飛ぶ前に、今はこれで我慢するよ」
持ち上げている上体に手を伸ばし、遠慮なしにスーツの上から胸を揉んでみた。
柔らかくて熱い
ほんの数時間前システム部から出てきて姿勢よく挨拶し、さっそうと歩き頭の良さそうな美人だったのに、
今は魂抜かれて取引先の駐車場で胸をもまれている。
山田さんの歩んできた人生が無責任にも全て僕のものになる。
将来の夢や希望など消え失せたのだ。
今まで努力して作り上げたこの肉体は僕の物になる、僕は十分に満足感を味わった。
「トランク締めるよ〜」
山田さんの頭を抑えてからトランクを閉めて、
運転席に乗り込み、冷房をかけ、山田さんの家の地図を出して発進した。