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ひょうたん(魂を吸い込むツボ)
【SF 官能小説】

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きっかけでは終わらせない-1

先輩は詳しく知りたいとミーティング室に誘ったけど、
今日はスケジュールが混んでいて、次の会社に行かなくてはならないらしい。
次回の約束して名刺交換した。
名刺には”山田里子”と書いてある。
僕は、何も話せなかったが、最後の名刺交換で指先が少し触れたことが嬉しかった。
そして山田さんは去っていった。
背中からお尻の線がとても美しい、揺れるお尻が美しすぎてエロく見えない。
でも、僕には分かる。
あの中は確実に良い物が詰まっている。
「どうだ、美人だろ」先輩が聞いてきた。
「はい、一番美人ですね」
「だろ〜 次回は個室で二人っきりだよ うっひっひっひ」
先輩は汚く喜んでいる、俺は呼ばないつもりのようだ。
それが顔に出たのか先輩は察して
「飲みに誘えたら、お前を呼んでやるからな」と肩を叩いた。
それもウソっぽい。
これ以上アホな先輩に付き合う必要がない。
「先輩、緊張していたのでトイレにいってきます」
「おう、そうか、ありがとうな」
手を上げる先輩を無視してその場を離れた。
僕は、急いでトイレの前を通り更衣室に向かうと、ロッカーにあるカバンからひょうたんを取り出す。
それをある場所に隠してロビーに向かった。
やばい、
時間かかりすぎたかもしれない、周りを見ても山田さんの姿は無かった。
でも、次回まで待つわけにいかない、建物から外に出て目を凝らすと、
街路樹の下で背中を向けて電話をかけている山田さんを発見した。
いた!
近づくと、声が聞こえてくる。
「はい、これから○X会社に向かいます」
僕は気づかれないように後ろに立ち、電話を終わるのをまってから声をかけた。
「山田さん」
少し驚いた顔で振り向き僕をみて「はい?」
しまった、ここで魂を吸い込めばよかった。
「あ、先ほどの……田中さんですよね、何かありましたでしょうか?」
もう、僕の名前を覚えている、やっぱり美人は違うな。
優しい目で僕を見てる。
話しかけるのが苦手な僕でも、こんな目で見られると少し緊張が溶けた。
「はい、あのですね、部長に先ほどの話をした所、来週から出張に行くので
 2、3分でも話できないかと言われてしまい、追ってきました」
百点満点の誘い方だ。
「え! そうですか、それでしたらあまり長居は出来ませんけど説明に参ります」
「いいのですか、すみませんスケジュール押しているにも関わらず、すぐ済みますので」
「いえ、大丈夫ですよ」
さすが出来る女は違う、一瞬でスケジュールを組み立てたらしい。
「じゃあこちらです」
山田さんは僕の後を付いて来た。
僕はロビーを横切り社員用口に向かうと、
「あれ、ロビーではないんですか?」ロビーを指して聞いてくるので。
「あ、はい、社員通用口の方が近いので、少しでも時間短縮にと思って」
「そうなんですか」
山田さんは疑いもせず、素直についてくる。
そうなんです、僕にとっては、ものすごく近道なんです。
山田さんにとっては、これが人生の分かれ道だと気付かずについてきている。
前を歩く僕の股間は張り裂けんばかりに立っていた。
この道を歩く人など出退勤の人しかいない、今は誰もいないのだ。
僕は裏路地の狭い通路を通りながら、頂いた名刺を取り出した。
「山田里子さんと言うんですね」
「はい、平凡な名前でしょう」
確かに平凡な名前だ、美人だけに似合っていない、とは思いつつ
「そうですかね、頭よさそうな名前じゃないですか」と振り返る
「プっふっふ ありがとうございます」
手を口に当てて笑う顔が、美しい
落とす前の月岡さんが僕と話す時に手を口に当てるのとは違い、
山田さんの当て方は美しい。
横と縦ではこうも見え方が違うのかと感動した。
もうそろそろ社員用口だ。
仕掛ける準備をしないと、
「山田さんって学生時代、卒業式とかで名前呼ばれたら大きな声で返事しそうなタイプですよね〜」
「あれ? わかっちゃいます? そんな感じでした」
「やはりそうですか」やった乗ってきた。
よーし、このままのノリで行こう。
「その時の様子を見てみたいですね」
「さすがに、ここでは大きな声はだせませんよ」
「ホントですか〜 といいつつも、卒業証書授与……」
僕は社員通用口の把手をひねり扉を開けた。
「山田里子!」
山田さんはニコリとほほ笑み、
「はい!」と小さく手を上げた。
ドアの向こうの守衛室では男が仏頂面でこちらを見ている。
その守衛さんの横にあるヒョウタンがブルッと揺れた。



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