一週間を埋められるもの-1
……会社……
出社していつも通り月岡さんの仕事をこなす。
あれから1ヶ月もしてないのに月岡さんの話題は消え、刑事も来なくなった、
ここには月岡さんだけがいない、いつもの職場に戻っている。
結局ニュースにもならないぐらい、世間では些細な事だったのかもしれない。
僕専用の肉便器が出来たことなんて大したことではないのだ。
仕事が増えたことだけがデメリットだった。
と、そんなことよりも一週間やれないことの方が重大だ。
一日でも、しない日なんてありえない、まさに……
「魔性の女だな」独り言をつぶやいてしまった。
「誰が?」隣の先輩の山本さんが聞いてくる。
独り言なんだから反応しなくていいんだよ、と思い無視してキーボードを叩いた。
「はん、おおかたアニメの女の子の事だろ? 次元を超えてこいよ!3次元はいいぞ〜」
”うるせぇバァカ その年で結婚していない癖に語るな”と心の中で反論しながら無視
「とはいえ 由紀奈ちゃんが居ないから仕事の張り合いがないよぉ〜」
”由紀奈? ああ月岡さんの事か、僕のペットだからなぁ残念だったね”
「何処行っちゃんだろな〜俺の人生で一番可愛かったなぁ また飲みに行きたいよ」
”飲みになら、毎日僕の体液を飲んでいるけどね”
「ホントお前って3次元に興味ないのかね〜」
”3次元って古いな3Dって言えよ ってかいつまで僕をバカにしてるんだよ”
と無視続けても気にせず話しかけてくる先輩に、ふと疑問がわいた。
「……あの……」
「お!喋った ちょっと怒ったか? ゴメン ゴメンお前も人間の女の子がすきだよな」
「……あの…… 2番目は誰ですか?」
「へ? 2番目?」
「人生で2番目に可愛かった人です」お前が順番を言ったんだろうが!
先輩は「ああ」っと考えてから、
「人生で1番は由紀奈ちゃんだけど、2番目?、2番目は誰だろうな〜 お前誰だと思う?」
”質問を質問で返してきたよ、ちゃんと答えろ”と一瞥すると、
「俺はね〜1番以外興味ないんだよね」と言ってきた。
”なんだそれ、順番に意味がないだろ”
「とは言えカワイイの1番は由紀奈ちゃんだけど、美人の1番はうちにくる業者の子だろうな」
と何故か勝ち誇ったように言う。
「一番の……びじん?」
”なんと1番でも種類があるんだ”
「おお反応したね。 美人といえば あの子だろうな」
”それは誰だよ”
「どこの業者ですか?」
「知らないのかよ、一度見れば誰もが振り返る美人だよ」
「しりません」
「んだよ〜 システムのプリンター保守に来る子が超グラマーで美人なのは有名な話だぞ」
「……そうなんですか」
「見てみたいだろ〜 うっふっふっふ 俺チェックしてるんだよね〜 彼女が来る日を」
「チェックって?」
「本当は買わないけどサ、内の部にも大型プリンターを導入するとか相談しるためにさー」
「いつ来るんですか?」
「おお!良い反応だね興味あるの? お前は美人タイプだったのか」
言われて気づいたが、僕は身を乗り出していた事に恥ずかしくなった。
「どうでもいいですけどね」
「そうゆうなって、じゃじゃーーん、なんと今日、彼女が来るんだよね、見て!そのための一張羅!」
少し若者風のスーツを見せびらかしてる。
スーツの自慢話は耳に入らない。
そうか、そうだった。
この1週間を埋める物があったじゃないか!
「……ぼぼぼくも立会いたいです。」
「おお!めずらしいね。一緒にくるかぁ イケメンだったら拒否るけど お前なら大歓迎だよ」
「どうゆう意味ですか」
「まぁまぁ、でも今日は名刺をもらうだけ、あわよくばカタログの説明などしてほしいな」
「一緒にお願いします。」
「うんうん いいよー 俺って後輩思いだよねー
それにさぁ買う買わないで、ごねて1晩の相手してくれたら……」
アホな先輩の妄想は拡大していく。
妄想は置いといて、
詳しく聞くと夕方に来るそうだ、
その帰りを待ち伏せて名刺交換するとゆう、なんとも貧素な計画だ。
計画の内容は、僕に先人を切らせてきっかけを作り、後から先輩風をふかして話しを進めるそうだ。
どうりで、最初の会話からしつこかったわけだ。
そして予定通り夕方、先輩にシステムの友達からメールが来た。
彼女が来た知らせだ。
山本先輩に呼ばれて付いて行き、システム部の前の通路を見渡せる角で待ち伏せた。