美しい親子愛!! セーガン博士の特攻作戦!!-16
突然のこの展開には戦闘を中継していたヘリも慌てた。
アナウンサー「ああっ!! ガングリオンが攻撃をやめて上昇してゆきます!! 一体どこへ行くのでしょうか?!」
ディレクター「このまま宇宙に出られたら中継できなくなるぞ! 国際宇宙ステーションからの中継に切り替えろ!!」
キ―――――ン!!
追撃してくる赤騎士・青騎士の猛攻を何とかかわしながら飛ぶガングリオン。
必死の操縦を続けながらもコリンは父と次なる作戦を練った。
コリン「…ところで父さん。あいつらのボディを破壊するにはどれくらいのエネルギーが必要なんだ?」
セーガン博士「…前回は1000ギガトン分の反応弾を打ち込んだ」
コリン「何だって?! アルティメイト・ガングリオンの全力攻撃だってそんな破壊力はないよ!! 一体どうやってそんな…!!」
セーガン博士「いいから指定したポイントまでやつらをおびき出すんだ!! 後は私に任せろ!!」
半信半疑のコリンだったが、今の状況ではとにかく言う通りにするしかなかった。
コリン「…はあっ、はあっ。ようやく指定ポイントに着いたぞ!」
しかし、コリンのその一瞬の気の緩みを騎士たちは見逃さなかった。
ガングリオンの背後を青騎士の放ったビームが直撃した。
グワッ!!
コリン「うああああああ――――ッッッッ!!!」
ガングリオンを追跡してきた宇宙船『ゼルヴェンジャー』は全砲門を開いて騎士たちを攻撃した。
その隙に態勢を整えて反撃するガングリオン。
セーガン博士「大丈夫かコリン!!」
コリン「あ、ああ。ちょっと油断しただけだ!! それよりも父さん、あいつらを破壊するほどのエネルギーはどうやって作るんだ?」
セーガン博士「出来る!! ゼルヴェンジャーにはありったけの反応弾を積み込んである。アクメリアクターを暴走させ、自爆させるのだ!!」
コリン「な、何だって?!?! まさか…そんな…特攻?! ダメだよ父さん!!」
セーガン博士「私は赤騎士・青騎士と共に死のう!! コリンのためなら死ねる!!」
コリン「ダメだ!! 絶対そんなことさせるわけには…!!」
その時であった。
大きく伸びた青騎士の槍がガングリオンを貫き、赤騎士の金属髪が腕にからみつく。
機体を再び激しい電撃が貫いた。
コリン「ぎゃあああああああっ!!!」
電撃の波に合わせて大きく機体を震わせるガングリオン。
衝撃で応急処置した腹の傷が再び破れ、コリンは吐血した。
コリン「げぼおおおっ!!」
セーガン博士「コ、コリ――――ン!!」
セーガン博士は絶叫と共に宇宙船ゼルヴェンジャーを2つに分離させた。
ゼルヴェンジャーは非常事態に備え船体前半部のα号、後半部のβ号に分離できるのだ!!
セーガン博士「お前らなぞにむざむざコリンを殺させはしない!!」
博士の操縦するα号はビームを乱射しながら赤騎士・青騎士に猛然と突っ込んでゆく。
赤騎士・青騎士「グゲッ!!」
2体はガングリオンへの攻撃の手を止めてα号への反撃に切り替えた。
赤騎士の剣と青騎士の槍が伸びて突撃してくるα号の操縦室を貫いてゆく。
室内では次々と爆発が起き、博士も爆風で倒れ込んだ。
セーガン博士「ぐわああああっ!! …まだまだ!!」
博士はよろよろと起き上がり操舵輪を握り直すと、艦首を赤騎士に激突させる。
グシャアアアア…ッ!!
赤騎士「グゲエエエエエエエエ!!」
α号の艦首をまともにくらってひしゃげる赤騎士。
コリン「父さ――――ん!! 死んじゃ嫌だ――――ッ!!!」
セーガン博士「何を言うコリン、私はお前のために死ねて本望だよ! 地球のことは任せたぞ!! すぐ爆発が起きる!! 早くここを離れるんだ!!」
一方、青騎士はα号から離れ、ガングリオンに狙いを定めた。
セーガン博士「させるかァァ――――ッ!!!」
博士は艦首を青騎士に向け直して突っ込んだ。
青騎士「ギギッ!!」
メリメリメリ…!!
艦首にめり込んだ赤騎士ごと激突し、潰されてゆく青騎士。
しかし青騎士も必死に反撃する。青騎士の放ったビームが艦首を焼き尽くした。
(コ、コ…リ…ン!!)
操縦室が爆発して四散するのとセーガン博士が自爆スイッチを押すのがほぼ同時だった。
そして一瞬、虚空はまばゆい閃光に包まれた!!
コリン「父さ―――――ん!!!」
ズ…ズドドドドドドドドドォォォォォ…!!!!!!
ガングリオンは手足のアーマーを盾のように展開して1000ギガトンの超爆発のショックに耐え続けた。