臭くても好き-1
「先輩のお尻とどっちが好き?」
あれから付き合いに承諾した慈縁は、土曜日の練習の帰り、セラフィーマの家に誘われた。慈縁は、部屋での見せ合いに応じたのだったが、セラフィーマに教えられるまま、もう肌を重ねて、少女の中に入ってしまった。もちろん、誘ったセラフィーマも今日が初めてだった。
その言葉が終わると同時に温かく口に含まれたのを下腹に感じた慈縁は、ぶっきらぼうに
「しゃべらせるなよ。」
慈縁のほうでは、とっくにセラフィーマの奥に舌を使っていたのだった。そう言われた途端、これまでにない気持ち良さにセラフィーマの気は遠くなって、自分も喋れなくなった。痒みにそこが引き締まった。今、おねしょの感覚で男の口に漏らしたのだと、喜びの波が引いてから思った。
セラフィーマは男の皮をゆっくり剥いてやった。濡らした唇で丁寧に拭い取ると、口の中でまた栗の花が咲いた。五回目かしらとセラフィーマは思った。
セラフィーマの波は慈縁よりずっと多く、速かった。しかも段々高くなった。もう、来ると分かって、慈縁を喉へ吞み込むように吸った。止まらないおねしょの感覚があったが、お尻のほうをこすられるのがあまりに気持ち良く、力んで開いて慈縁の顔に押し付けてみた。慈縁はされるがままにしていた。
慈縁にもう残りのないことを知ると、セラフィーマは皮を戻してやった。隣に身を寄せようとしたら、慈縁が腰に抱きついて離さなかった。顔はまだセラフィーマにうずめていた。
「女の子の、臭くて驚いた?」
「うん。でも、好きになってきた。」
聞いて、セラフィーマにまた波が来そうだった。
「毎日嗅がせてあげる。ホモなんて忘れるくらい、女の子のにおいで一杯にしてあげる。あんたの栗の花はあたしに全部ちょうだい。」
いつしか硬くなっていた慈縁に気づいたセラフィーマは、素早く身を翻してそれを自分に差し込んだ。
美しい筋肉の浮いた肌が赤く染まり、セラフィーマの体から女のにおいが濃く漂ってきた。慈縁をさんざん締めつけたあと、倒れるようにセラフィーマは慈縁の上に覆い被さった。汗で濡れた髪がまたにおった。
力の抜けた女の重さがなんだか嬉しく、女はこんな彩りを添えてくれるのかと慈縁は心に思い知った。
「俺のこと、なんで好きになったの?」
「初めて会ったとき、あたしの目のこと、気にしないでくれたから、かな。」
小声で辛そうに、疲れ果てた様子のセラフィーマが言った。
なんだそんなくだらないこと、と慈縁は思った。
ふと、高田先輩のことが思い出された。自分はやはり先輩が好きである。しかし、果たして先輩とこんな事ができるだろうか。 できたにしても、さっぱりしたものだろう。そう立ち返ってみると、女はぬるぬるした軟体動物のようで、やはり不潔な気もするのだった。
慈縁は、世の中も人の心の動きも、なんだか分からないものだと感じた。そして、父の言うとおりに、やっぱりみ仏に任せていこうかと本気で思い始めたのだった。