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中学一年生
【少年/少女 恋愛小説】

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実家の寺院-1

朝の勤行は部活よりずっと早い。父親の僧侶は、長男である慈縁を僧侶に育てて継がせるつもりがあまり無く、お前がなりたくないなら養子でも貰えばいいと慈縁に言っていた。慈縁に兄弟はほかにいなかった。
「檀家があるから寺を辞めるわけにもいかんしな。」
朝起きの得意な慈縁は、父親と一緒に好きで勤行もしているのだったが、家を継ぐかどうか決めることはできないでいた。
金色(こんじき)の巨大な阿弥陀像を前にして、暗いお堂に合掌する時間は、一日のうちで最も心が静寂になる時であった。色気など微塵もない。ただ、真剣さと畏敬だけがある。男の世界だと感じた。勿論、現在では僧侶は結婚も認められているし、尼寺というものが昔から存在することは慈縁も知っている。寺を継ぐなら、家族経営でなく、本当に「やる気」のある男ばかりの、出家修行の場にしたいものだと慈縁は思った。


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