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『6月9日』
【悲恋 恋愛小説】

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『6月9日』-3

EPILOGE

あれから6年たったけど、俺は未だに病院が嫌いだ。臭いとか空気とか、それも理由のひとつではあるけど、一番の理由は、大事な人を亡くした場所だからかな。
突然俺の携帯が鳴り響いた。この着メロは沙希からだな。
「もしもし?」
「もしもし?直人?ねぇねぇ、明日映画見に行かない?」
「あー、わりぃ。明日はどうしてもダメなんだ。」
「ぶー、休日に彼女ほっぽりだしぃ?他の女じゃないでしょうねぇ?」
「あはは、当たらずも遠からずってとこかな。今度ちゃんと埋め合わせわするから。」
「うん、わかった。待ってる。じゃあおやすみ〜。」
「おやすみ。」
そう、6年たった。俺は社会人になって新しい彼女もできた。だけど明日は予約済みなんだ、悪いな沙希。

翌日、車をとばしてとある霊園に足を運んだ。車を降りて迷わずある墓の前まで歩いていき、途中の花屋で買った花をいけてやる。
「1年ぶりだな、悠美。」
もうここに来るのは5度目になる。
「悠美…お前の祈った通り、絶対俺も幸せになる。でも心配すんな。今日だけは…6月9日だけは…お前だけのなおくんでいるからな…。」

気持ちよい風の吹く日曜日の6月9日のことだった。


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