第2話 撮影-10
柏木がまるで視姦するような目で葵の全身をチェックする。その瞳の光は獲物を狙う肉食獣のそれだった。
「さてと、時間まであと10分しかないから手早く説明させてもらうわね。小峰さんにはあの椅子に座ってオナニーをしてもらうわ。以前テレビで見た加奈と同じように一枚一枚服を脱いで裸になってね。時間は30分。イク方法は任せるけど、時間内に最低1回はイッてちょうだいね」
無機質なカメラが椅子に座り自慰に浸る少女を今か今かと待ちわびている。葵はドキドキと張り裂けそうに鼓動している胸をギュッと押さえ込みながらコクリと頷いた。
「物分りが良くて助かるわ。それじゃ残り時間、椅子に座ってリラックスしててちょうだい。時間がきたらカンペ出して合図するから、その通り喋ってね。しゃべり終わったら後は小峰さんの好きにしていいから」
葵は促されるままにカメラに囲まれた椅子に座った。あの加奈という少女もここでオナニーをしたんだ。そう思うと葵の下腹部がキュンとなる感じがした。
待っている間、葵の脳裏に様々な疑問が浮かんできた。何故自分はここにいるんだろう、自分を撮影して何をするのだろう、そもそもこれは犯罪ではないのか、あの柏木という女性は何故このようなことをさせているのだろう・・・
考えれば考えるほど疑問が浮かんでくる。だがその無数の疑問達も、
「小峰さん、1分前になったは。心の準備はいいかしら?」
柏木の声で全ての疑問は彼方に消えていった。慌てて椅子に座りなおし、身構える葵。
「5秒前・・3、2、1、スタート」
途端に3台のカメラが一斉に動き始めた。緊張のあまりどうしていいかわからなくなった葵だったが、柏木が素早くスケッチブックに書いたカンペをカメラに映らない位置から向けてきたので、それを読むことにした。