その胸の中で-1
オレは18時ギリギリの時間に車をマクドナル
ドの駐車場に滑り込ませた。
何故かって、由美子が車をどこに停めている
かで彼女の気持ちを察したかったのだ。
車が店の近くに停めてあれば店内で雑談。
店から離れた場所に停めてあれば車内で雑談。
そんな事を考えながら駐車場を見渡した。
由美子が駐車場の奥に立っていた。
その横に軽自動車があり、オレの車に気がつ
いた由美子は手招きした。
由美子の横に、道路側から視線を遮断できる
側の位置に車を停めた。
「お疲れ! ゴメン、待ったよね?」
「大丈夫よ。今着いたばかり。さあ乗って」
由美子は自分の車にオレを招き入れた。
軽自動車の車内は狭い。
隣の由美子は普段より化粧も濃い目だ。
「ゴメンねぇ 狭くてさぁ」
「イヤイヤ、こんなに近づけて嬉しいよ」
「ヤダ〜 本気にしちゃうよ!」
喉がカラカラだ。
オレはどうしたら良いのだろう?
由美子は、お土産の海苔をオレに渡し、令
を言った。
「実習で助けてもらってありがとう。お蔭
で無事資格が取れて嬉しかったの」
「イヤ、そんな事もないよ。オレも助かっ
たわ。逆に頂きものさせてゴメンね」
そんな他愛の無い話を数十分しただろうか。
由美子は、オレの顔を見てこう切り出した。
「鈴木さん、1度だけでいいんだ。鈴木さ
の腕の中で甘えたいの。ダメかな?」
「えっ? オレはいいけどさ、由美子さん
は大丈夫?」
「うん。。。」
オレはとりあえず由美子の頭をこの腕で抱
き締めることにした。
手探りでリクライニングレバーを探す。
シートは横倒しになり、隣の由美子もシー
とを倒した。
「おいで。 由美子」
「。。。」
オレの胸に頭を預け、オレの腕を確かめる
ように摩っている。
由美子は深呼吸しながら、
「あゝぁ」と短く喘いでいる。
オレは由美子の髪の毛を優しく撫でてやり、
ギュッと頭を抱いた。
オレは助手性側、右胸で由美子を受け止め
ているので、心臓のドキドキを直接聞かれ
ないだけマシだと思いながら、由美子の髪
の毛の匂いを楽しんでいた。