介護学校へ-1
オレは都内の会社へ通勤するサラリーマン。
だった。
そう、リストラされた今は無職のオッサンだ。
家族の何やってるだよ!って目に肩身が狭い
毎日を送っている。
四十を越え、正社員で雇ってくれる業界なん
てまず介護くらいしか思い浮かばない。
ハローワークの資格取得支援制度を使って、
ホームヘルパー2級の資格を取得することに
した。
自宅から自転車で通えそうな介護学校を探す
と、数校がリストアップできた。
その中でも、一番近い学校を選び、入学の手
続きを進めた。
入学当日、その日以降、一緒に学ぶであろう
クラスメイトが教室に集まっていた。
男性も数名いたが、そのほとんどが女性であ
り、オレと同じくらいか年上の女性が圧倒的
に多かった。
順番に自己紹介が続いていく。
クラスの中でも、ショートカットでメガネ
をかけたスレンダーな女性の順番になった。
年齢はオレより少しだけ上か?
「私は、主人が十年前に病気で倒れ、寝た
きりになって以来介護をしています」
「介護の事は多少わかっているつもりです
が基本を学び、主人の介護に役立てるのは
勿論介護の仕事もしたい、、、」
彼女は、言葉に詰まりはじめてしまった。
そして、手で顔を覆って泣きだしてしまっ
た。
周りのクラスメイトが肩を抱き、着席さえ
て彼女の自己紹介が終わった。