お土産-1
ちづるは、月曜の朝に家に戻ってきた。
お昼に3時間だけ働いた。
スーパーに寄り、
買い物をして帰ってきた。
家で、夕飯の準備をする。
タクミ君、
泊まるかな
今日も来るのは
6時ぐらいかな
そんな事を考えていると、
スマホが鳴る。
タクミからのメッセージだ。
【もう、行っていい?】
時間を見ると4:30だ。
【いいよ♪
まだご飯出来てないけどいい?】
そう送ると、すぐに既読がついた。
返事はない。
家の、インターホンが鳴った。
ちづるは中から鍵をあけた。
タクミが来た。
タクミはちづるに、
ワインのボトルを差し出して言う。
「はい、これ。
お土産ー。」
「、え?、、 」
「お邪魔しまーす。」
タクミは玄関に入り、靴をぬぐ。
ちづるは、きょとんとして
ワインを見る。
「ワインだー、、。
ありがとう。
どーしたの? これ」
タクミは、ちづるをじっと見る。
ワインを持っているちづるを
そのまま抱きしめた。
ちづるは少し驚く。
「、っ、 タクミくん? 」
「なんかー、、長かった、かも。」
「 え?」
「4日会えないのって、ながーい。」
「、っ、ぁ、、うん、」
タクミはちづるの顔を見る。
もう頬が赤くなり、目が潤んでいる。
そんなちづるを見てタクミは
ふっと笑うと、
身体を離して部屋に向かう。
ちづるも、
タクミの後をついて部屋に入る。
タクミがソファーに座ろうとしながら言う。
「そのワイン、ちづちゃんに渡して、
って預かったやつなんだー。」
「え、? 誰に?」
「健の姉ちゃん。」
「え!? 知可子から?」
「うん。」
「なんで、タクミ君に?」
「なんかー、健ん家で
お姉さんに会ってさ。
ちづちゃんとはお隣さんで、
結構会って話すって言ったら
渡してって頼まれた。」
「、 、そっ か。」
「、、ふふっ、、大丈夫だよ。
バレてないから。」
「、え?」
「俺達の事。」
「、、 、そっ か。」
「後で、飲んでね。」
「ん、うん、、。」
ちづるは夕飯の準備にとりかかる。
しばらく2人はお喋りをしていた。
ちづるの親戚の家は浅草にあり、
両親と親戚とで初詣に
浅草寺へ行った事を話す。
夕飯の準備か出来た。
夕飯は、チキンのトマトソース煮など、
タクミの好きな物ばかりがテーブルに
並んだ。
いただきます、と2人で言う。
すぐさま、タクミが言う。
「あ、ワイン! あけなよ。」
「え? いま?」
「うん。」
「でも、、、」
「俺にー、
遠慮しなくていいからさぁ。」
「んー、 、でも、
やっぱ、なんか、悪いし、、」
「いいってばー。
っつーか、俺、
ちづちゃんが酔ってる所
見たーい。」
ちづるは笑って言う。
「あは、、
でも私、お酒、弱くなったから。
寝ちゃうかもよ?」
「いーよ。」
「じゃあ、、お言葉に甘えて、
頂き マス 。」
ちづるはキッチンへ行くと、
ワインオープナーでワインをあける。
2人はご飯を食べる。
ちづるはワインを飲む。
また、しばらくお喋りを楽しんだ。
ちづるは、しばらくすると
少しだけ顔が赤くなってきた。
タクミは、その頃合いを見て
ちづるに言う。
「健の姉ちゃん、、知可子さん?
だっけ。
聞いたよー?」
「、? 何を?」
「 お ん な 。
いるんだってね。
ちづちゃんの旦那。」
「、っ、!」
ちづるはフリーズした。
なんとも言えない、という顔をする。
眉間に皺がより、痛そうな顔をする。
しばらく黙った後にちづるは言う。
「、 、 、、んーーーっ、
知可子、、酔ってたでしょ?」
「うん。かなり酔ってたー。」
「やっぱり。
あの子は酔うと色々、
喋っちゃうんだよねぇ。」
「ふふ、、そーなんだー。」
ちづるはワイングラスを見つめ、
クルクルと中のワインを回しながら、
独り言のように言う。
「もー、、知可子めー、、、
よりによって、そこ、言うとはー
っ、はぁ。
、 、、、まぁ、
このワインは美味しいから、
許そう かな。 うん。
、、、ってか、
どこのワインだろー。
高そーーだなーー。
美味しーー、、 、」
「はい。誤魔化さない。」
「、あ 。
駄目 か、、、。」
「女がいる事、
俺は知らなかったなー。」
「んー、、? うん。」
「ちづちゃんて、
何気に秘密主義だよねー。」
「え? そうかなぁ。」
「そーだよ。」