恋しい人-6
タクミはシャワーを浴び終わると、
部屋着を着て、頭を拭きながら
ベッドに座る。スマホを見る。
さっきは気がつかなかったが、
ちづるからメッセージが入っていた。
【親戚とお酒飲んでて
盛り上がってた(笑)
私も、早く会いたい。
明日はタクミ君の好きなもの作るね♪】
女の子が、
料理を作っているスタンプが
メッセージの後に入っている。
タクミはメッセージを読んだ後、
ふと、テーブルを見る。
部屋のテーブルには空の弁当の容器。
その隣に、知可子から預かった
ワインが置いてある。
「、 、、、」
ちづちゃん 俺の前で、
酒 飲んだ事ないな
俺に、合わせて飲まないんだろーな
酔うと
どーなるんだろ
明日、このワイン飲ませて
ちづちゃんに色々、 、
聞こ
タクミは、喜んでいる顔のスタンプを
ちづるに送った。
洗濯機を回し、ベッドに入りながら
テレビを観る。
朝の情報番組がやっている。
洗濯が終るとそれを干し、
またベッドに入り、少しだけ眠った。
2時間ほどしてスマホのアラームが鳴る。
制服に着替え、いつものように
学校へ向かった。
コンビニでおにぎりを買って、
教室で健達と雑談をしながら
それを食べる。
1時間目の授業が始まる。
授業は淡々と、進行してゆく。
ちづるの事を色々考える。
浮気をされた理由。
それも少し気になったが、
一番気になるのは、そこではない。
知りたい事は、ただ1つ。
ちづるの気持ちだった。
『寂しい思い、、
させちゃったのかも、、』
ちづちゃんは、どうして
そんな風に思ったんだろ
自分が、本当はレズだから?
いや、 、、
『 でも、私、 、 、
先生が好きだから
別れたっていう自覚は、なかったの。
仕事が、忙しいからだって、
思ってたってゆーか、、、。 』
自分をレズだって
自覚したのは
最近の話じゃねーか?
、 、んーー? 、 、、
なんか、
腑に落ちない
駄目だ やっぱり
本人にちゃんと聞こう
誤魔化す かな
でも、基本ちづちゃんは
嘘 つかないもんな
ってか 、 、
『 えと、DVD 、
置きっぱなして、
そんで、その上に、
、、コーヒー こぼしたの。
そしたら、
っ、観れなく、なっちゃったの。』
あぁ
あの必死な 顔
相変わらず
萌え
嘘、つかないんじゃなくて
つけないんだよねぇ
本当
かわいそ
タクミは黒板を眺めてニヤニヤする。
授業は、数学だ。
数学の女教師はタクミの顔に気がつく。
女教師の中でタクミは、
苦手な生徒ランキング1位になった。