新しい君に-5
(5)
部屋の明かりを消そうとするのを俺は制した。
「興味あります?やっぱり……」
「あるけど、それだけじゃない」
純子は真顔で俺を見つめ、
「覚悟が要りますよ……」
(覚悟?……)
真意を測りかねて黙っていると、純子の顔にうっすらと笑みが浮かんだ。
「上条さんなら、いい……」
パジャマ姿でベッドに横たわった。
「狭いでしょ……」
純子に寄り添うと火照った顔が眩しそうに目を閉じた。その唇に舌を入れた。
「う……」
純子の舌が伸びてきて絡んだ。
(甘い……)
そう感じて昂奮した。
きれいな歯並びを舌でなぞる。滑らかな歯ぐき……。唾液が溢れてくる。
「うう……」
純子が喘ぐ。
「あう!」
嬌声を引き出したのは胸に手を当てたのである。
膨らみなどまったくない。
(それでも感じるのか)
男でも乳首は性感帯だ。それにしても感度がいい。俺は純子のパジャマのボタンを外してはだけ、
「あ、いや」
小さな乳首に吸いついた。
「ああ!いい!」
扁平な胸、小豆みたいな乳首が女そのものの体のうねりを見せる。
(肌が白い)
それは知っていたが、想像を超えて胸は透けるほどに白かった。
俺が燃え上がったのはそこに『女』を感じたからだった。柔肉などまるでないのに、
(女に触れている……)
感情が高ぶってきて、勃起していた。
背中から尻に手を回してパジャマと下着を引き下ろした。
「あん、だめ」
純子が下半身をよじったのは『女』が見せる反射的な恥じらいとは別のものだったのかもしれない。その股間には『女』として生きている純子にとって不要であるべき『男』が付いている。それはできれば見せたくない部分だろう。
ペニスは勢いよく勃っていた。サイズは小さめだが亀頭は露出していて青白い血管が浮き出ている。
俺の動きが止まると純子が見上げて弱々しく言った。
「みんな、ここで引いちゃう……」
ほんとに男なんだな……女って言いながら勃ってる……醒めるな……。
『男たち』は薄ら笑いを浮かべながら去って行った。
俺は醒めてはいなかった。
(きれいだ……)
これまで自分の基準にはあり得ない意識であった。
陰毛はまったくない。剃ったのだろうが毛穴も見えず、子供のような肌である。亀頭の色はコスモスのような淡いピンク。見るからに硬い漲りそのものは男だが、白い肌から突き出たペニスは女の喘ぎを膨らませているように思えた。
「剃ってるんです……」
純子はもう隠す姿勢はとらなかった。
「生えてると汚れて見えるんです。あたしの体には……」
袋もつるつるである。
「勃起はするんだ」
「男の人にだけ。女性に対しては絶対感じません」
きっぱりと言った。
「きれいだと思うよ」
「ありがとう。嬉しいけど……。もうやめましょう……」
純子が起き上がりかけた時、
「やめないよ」
俺は股間に顔を寄せていった。
「え?……何?」
俺は吸い込むように口に含んでいた。
「ああ!だめえ……」
卒倒するように倒れ込んだ。
「ああ!しびれちゃうぅ」
伸び上がり、突っ張り、波打つ体。
「上条さん、こんなことされたの、初めて、初めてよ」
むろん俺だって初めてだ。口の中で硬直を増す陰茎。舌で先端の形をなぞる。
(ペニスを咥えてる!)
俺は異様な昂奮を覚えていた。