金曜日 1-3
タクミは家に戻り洋服に着替え、
約束通り6時にちづるの家にきた。
玄関でタクミが話す。
「いい匂ーい、、」
「お腹、すいた?」
「 うん。
あ、ちづちゃんの今日のそれ、
かわいーね。
初めて見た。」
タクミは、
ちづるの真っ白のニットを誉める。
「ぇ、 、あ、うん、、。
ありがと、 、、」
「、 、、こないだ、買ったの?」
「 え?」
「先生と、
買い物の時に買ったんでしょ?」
「、っ、!?
なんで分かるの? 超能力?」
「 なんとなく。
そんな気がしただけ。」
「そっ か、 、。」
2人は部屋に入る。
ちづるは台所に立つ。
すぐに、夕飯の用意が整い、
2人はいただきます、と言うと
ご飯を食べ始めた。
おかずの中に、エビチリがある。
ちづるは、
仕事が終わると電車に乗り、
2つ先の駅まで行って、
このエビチリを買ってきたらしい。
このエビチリは普段は北海道でしか
販売してないものだが、
期間限定で、1ヶ月だけ
東京で販売しているらしい。
ちづるは嬉しそうに
エビチリの説明をする。
タクミはちづるの話を聞いている。
聞きながら、ふと思う。
、 、、ちづちゃんが
いっぱい話すのって、
珍しいな。
なんか かわいー 。
、 、、そういえば、 、、
タクミは思い出す。
過去に付き合ってきた女の子達。
食事やデートでお喋りをする時、
タクミは話を聞いてる事が多かった。
母親も、機嫌が良い時は、
よく喋る女だ。
聞き役になる事は、タクミにとって苦ではなかった。
1つ、注意する事があるとすれば
良いタイミングで相づちを打たないと
『ちゃんと聞いてる?』
と、責められる事だ。
しかし、
ちづるといる時のタクミは違った。
タクミのが、よく喋っていた。
ちづるが、話を聞いている事が多い。
こんな風にちづるがよく話すのは
少し珍しい。
エビチリの説明を続けている。
やっぱ、アパレルより
飲食業のが、向いてる、
って事 か。
タクミはちづるを可愛く思いながら、
話を聞く。
ふとDVDの件を思い出す。
ちづちゃんが
少し勘のいい女だったら、
私の事、
嫉妬させたくてDVD つけたんだ
って、
気がつきそうなもんだよなぁ 。
全く気がついてないのかな。
『イーディー? ん?ED!?
だっけ?
あれ?あってるかな、、
、、それに、なっちゃった?』
、 、 っ 、、やべ 。
笑っちゃいそ 、 、
ちづちゃんは、
やっぱ 鈍感な方だな。
気がついてない か 。