木曜日 2-3
***
2時間後にインターホンが鳴る。
ちづるは鍵を明ける。
黒のジャンパーを着たタクミが白い息を吐いて立っていた。
ちづるはタクミを迎え入れる。
「外、寒かったでしょ?
お疲れさま。
お腹すいた?」
「うん。
ちょー腹へったー。」
タクミが家にあがり、
ちづるは夕飯の準備をした。
じゅうたんに座り、お喋りをして
2人並んでご飯を食べる。
なんとなく、ちづるの元気がない。
食べ終わる頃にふと、タクミが言う。
「ちづちゃん、
なんか、疲れてる?」
「え、? そうかな ?」
「食べる量も、、
なんか少なくない?」
「ん、ちょっと、お店混んだし、、」
「そーなんだー。
今日、無理しないで、
眠かったら、寝よう? ね?」
「ん、 うん、 、、。
、 、 、、 、
あの、 、、 」
「 ん?」
「DVD の、あの子の名前、、、
なんで、知ってたの?」
「 ? え、誰? 」
? DVD ?
「、 、、、あの、、レズの 」
「あー! あぁ、!
昨日の?
ななみちゃん?
結構有名なAV 女優だよ ?」
「あ、 、、そう なんだ、、。」
「 ? それが、どーかしたの?」
「、、ううん、なんでもない、、」
ちづるはうつむいて赤くなった。
大きな目が泳いでいる。
「、 、 、、」
昨日の事、気にしてんのかな。
、 、 、 、
あぁ、なんか
この顔
この反応、 、 、
からかいたく なる 。
タクミはニヤニヤしてしまいそうなのを、堪えて言う。
「あー、あれ、貸してよ。」
「、 、え?」
「今度、貸して。DVD 」
「、っ、!?、 、、
ぁ、 あの、 、、」
「 ん?」
「、 、、 っ、 、ごめん、
、 、 、あたし、 、、」
ちづるは動揺する。
「ごめんって ? 何が?」
「、 、その、 、、
あの、DVD
、 、駄目に しちゃって、、」
「? え?」
「、 、 、、っ、もう、
観れないの。 」
「観れない? なんで?」
「、 、 、、あの ね ?
、っ、 、、
えと、DVD 、
置きっぱなして、
そんで、その上に、
、、コーヒー こぼしたの。
そしたら、
っ、観れなく、なっちゃったの。」
「、 、 、、 、 。」
本当、 嘘
下手だな。
「へーーー。
コーヒーを?
DVDの上に ? 」
「ん、、うん、、。ごめん、、」
「火傷、しなかった?」
「ん、、うん、してない、、、」
「 なら、よかったけど。
でも、DVD の上にこぼすって、
DVD を直接テーブルに
置いたって事?
ケースに入れないで?」
「、っ、! 、うん、、
ちょっと、、置いちゃって、、」
タクミは、ちづるを近い距離で見つめる。