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アンバランス
【OL/お姉さん 官能小説】

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アンバランス-1

(1)


「ああ、いい気持ち……」
心地よさに目覚めるとヒロくんがクリトリスを舐めていた。
(ゆうべ、泊まったんだ……)
セックスのあと、きらめく恍惚感の中を漂ううちに眠ってしまったようだ。
 布団の中に潜り込んでいるからヒロくんの顔は見えない。コタツみたいに盛り上がってもぞもぞ動く。
(あん、洗ってないのに……)
愛液や汗などでぐっしょり濡れたそのまま一晩……。
(におうはず……)
でも、ヒロくんはちょっとにおいがあったほうが好きなのだ。
「あまり洗わなくていいですよ」
セックスの前に言う。そのほうが、
「お姉さんを感じられていい」という。

 ヒロくんは私のことを「お姉さん」と呼ぶ。初めて出会った時からそうだった。一度も「明日香」と名前を言ってくれたことはない。昂奮に舞いあがっていく時など、時には囁いてほしいと思うこともあるが、ヒロくんにとっては8歳の年の差はある意味、壁なのだろうか。……
 私は28歳、彼は20歳。仕方がないか。……これでいいんだ、そう思う。

 出会いは1年ほど前になる。
休日の朝、寝ているとインターホンが鳴った。昨夜、会社の女子会で盛り上がって飲み過ぎた。頭に鈍い重さを感じていた。

「はい……」
「あのう、これ、お宅のものだと思うんですけど……」
若い男の声だ。
 これって言われたってわからない。セールスか。古いマンションなのでドアミラーも汚れていてよく見えない。
「なんでしょう?」
「はい……」
言葉が途切れて少し間があった。
「道に落ちていたんです」
「だから、なんでしょう?」
「洗濯物です……」
(え?……)
急いでベランダに行ってみた。
(ない……)
おとといの朝のこと、出がけに少しちびってしまって簡単に手洗いをして、面倒なので物干しに引っかけておいたのをすっかり忘れていた。風に飛ばされたのか。
(いやだ……パンティ……)
でも、なんで私のものだとわかったの?誰?……。
「ちょっと待ってください」
私はパジャマの上からトレーナーを着込んだ。

 警戒しながらドアを開けると、
(あら……)
気持ちが和らいだのは少年だったからである。
(中学生?)
小さな手提げの紙袋を私に差し出した。中を見るとたしかに自分のものだ。
「きみ、このマンションの子?」
「いえ、向いのアパートに下宿してます」
「下宿?」
「何年生?」
「……大学2年です」
「え?大学?……そうなの……」
それがヒロくんだった。

 とても大学生には見えなかった。後日、身長155センチ、体重49キロと知った。私より小さかった。顔も童顔で涼やかな瞳は好感がもてた。
「ね、これ、どうしてあたしのだとわかったの?」
私の口ぶりは子供に向かって言う言い方になっていた。
「たまたま、おととい、部屋から見えたので、それが道に落ちてて……」
「そう……」
「時々、お姉さんの姿を見てたから……3階のこの部屋だって……」
「そう、ありがとう」
考えようによっては、パンティを女性の部屋に届けるなど、変質的にもとられかねない行為である。だが、不快感は感じなかった。幼さの残る純真な印象が疑念を起こさせなかったのだと思う。
(それにだまされた……)
いや、彼が何かを仕組んだわけではなく、私が興味をそそられた……そして、好奇心を持つようになった、ということになる。
 カーテンの隙間から見ていると彼が1度振り返り、アパートに入っていった。
(どの部屋かな……)
少しして、窓から顔が覗いた。2階の角部屋、ほぼ真向いである。私の部屋を見上げているようだった。 


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