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アンバランス
【OL/お姉さん 官能小説】

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アンバランス-8

(7)


 半年ほど経った頃、
「彼女、いないの?」
彼のアパートでのことだった。
「付き合ったこと、ないんです」
ヒロくんは淋しそうな笑いを見せた。

「今夜、ここに泊めて?」
「汚ないですよ」
「いいの。泊めて?」
ヒロくんをもっと身近に感じたくなって抑えていた気持ちが溢れていた。
 私のマンションで食事を済ませ、お風呂も入ってから2人でアパートに行った。
「好きな子、いたんでしょ?」
私は彼女がいない話を蒸し返した。
「はい、まあ……」
「告白したこと、ないの?」
「ぼく、そんな対象には見られないと思ってました……」
「そんなこと……」
彼の複雑な表情はどこか入り込めない哀しさを感じた。
 中学生としてはそうそうあり得ない性体験をした彼が抱いた自信は、もしかすると歪んだものだったのかもしれない。

「ヒロくん……」
私は服を脱ぎ始めた。余計な下着は着てこなかった。
「ヒロくんも脱いで」
「ここ、けっこう音が洩れますよ」
「静かに、しよ……」
「はい」
「静かに、ね……」
(出来るかな……)
自分で言っておきながら私は自信がなかった。

「お姉さん、今夜泊ってください……」
激しく溶け合った後、ヒロくんが私の耳元で囁いた。熱い息が吹きかかってぞくっとした。彼がそんなことを言うのは初めてである。泊ると決めてここに来てるのになぜわざわざ言ったのか。……彼の昂奮が伝わってきた。
「いいよ。嬉しい」
「嬉しい?」
「だってヒロくんがそんなこと言ったの初めてでしょ?いつもあたしばかり言ってた」
「ごめんなさい……」
「何謝ってるの?」
「ぼくはお姉さんにとって意味のある存在ですか?」
咄嗟に答えに詰まったのはどう解釈していいかわからなかったからだ。それは考えてみても正確な真意は計りようがない質問だった。
「意味あるよ……」
ヒロくんをきつく抱きしめながら、私は言葉を探したが頭の中がまとまらない。安易に答えたら彼を傷つける不安が過った。
「こうしてるだけでも、いいじゃない……」
しばらくして、ヒロくんは意外なほど落ち着いた調子で言った。
「そうですね……そうなんですよね……」

 ペニスは内股に寝そべっているがずしりとした重量感がある。幹には私に埋め込んだぬめりが半乾きである。べとべとのまま口に含んだ。淫靡なにおいが漂った。むくむくと大きくなって硬さが増した。
「ぼくも……」
ヒロくんが私の肩に手を触れて促してくる。咥えたまま体勢を変えていく。彼の顔を跨いで湿った陰部を落していった。
(あう……)
唇が触れたと同時に舌がクリを捉えた。
「うう……」
静かに、しかし深遠な欲情の深みの大きな流れに私は呑み込まれていった。

 ふと、思った。
(もし、ヒロくんが大男だったらどうだろう……)
大きなペニスも体に比して相応の印象をもって見てしまうのではないだろうか。ヒロくんの小さな体にそそり立つからペニスはより生き生きと躍動して見えるのではないか。
(アンバランスは魅力なのだ……)
そう思った。それは私の主観……。
 非の打ちどころのないほど容姿が整っていても心の不均衡は幾度も訪れるにちがいない。ヒロくんの初体験のおばさん。彼のペニスで新しい悦びを知ったのかもしれない。死の恐怖をわずかでも紛らわせることができたのかもしれない。彼が立派な体格だったら扉を開けたりはしなかっただろう。保健の先生も自身の心を見つめ直したのかもしれない。
 こじつけでもいい……。自分の心は自分しかわからない。
 将来を見据えるのはよそう。揺れてもいい。だが、できれば、不均衡のようでいてバランスを保てたら……。そう、ヤジロべえのように……。


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