4-2
家に着くとすでに妻は帰宅していた。
もしものことを考えてシャワーソープは使わなかった。家とは違う香りがすれば、鼻のいい妻は絶対に気づく。
「早かったな」
「うん。明日から出勤だしね。どこ行ってたの?」
「ああ、ちょっと編集部に」
「あら、ご苦労様。ご飯は?」
「いや、済ませたよ」
「そう。大阪のお土産、よかったら持って行って」
テーブルの上に、菓子折りがあった。
「楽しかった?」
妻は冷えた麦茶を飲むと、うんと頷いた。
「お風呂先に使うね」
「ああ」
コップを流しに置くと妻は風呂場へ向かった。
富岡はソファに身を沈め、頭を抱える。この罪悪感にいつまで耐えられるだろう。妻には何の落ち度もない。もう結子と会ってはだめだ。どちらに対しても責任も取れないのだから。
富岡が深夜ベッドに入ると、妻が目を覚まし手を握って来た。
「起こしちゃった?」
「待ってたの。ねぇ、抱いて」
「だって、朝早いだろう」
「いいじゃない」
富岡のTシャツを脱がし、自分もパジャマを脱いだ。キスしながら富岡の股間をまさぐる。
そのペニスを咥えると、ゆっくりと顔を上下させた。富岡は妻の髪を撫でた。数時間前、結子にしたように。
妻は上になり、息を弾ませて腰を振る。いつになく積極的な姿に戸惑いながらも、最後には正常位で果てた。
妻は裸のまま夫の胸に顔をつけ眠りに落ちた。結子を貫いたペニスでまた同じように妻を攻め立てた。こんなことを続けていたら、きっといつかすべてを失うだろう。
どちらかしか助けられない状況になった時、果たして自分はどちらに手を差し伸べるのだろう。焼けた鉄の玉を飲み込んだような苦しさの中で、夜が明けるまで眠れなかった。