〈汚れなき食材〉-2
『そんなに怖がらないで……「お兄ちゃん、亜季を守って」って言ってみて?亜季ちゃんのお願いは、お兄ちゃんが必ず叶えてあげるから……ほら、言ってごらん?』
「ヒック……お…お兄ちゃん……んぐ…亜季を…守って……」
あっさりと亜季は長髪男の言葉に従った。
もう怖くて怖くて仕方がないのだ。
話し掛けてくる言葉の意味など関係なく、とにかく男達の言う事を聞いて、気分を損ねないようにしているだけ……そのようにしか、三人の目には映らなかった。
得体の知れない男達に囲まれ、枷や金具によって逃げられない今、亜季には従う以外に我が身を守る術はないのだから。
「やッ…あぁッ!?」
素直に従った亜季を嘲笑うように、長髪男は亜季に覆い被さるようにしてワンピースの裾を握り締めると、そのままスルスルと捲り上げだした。
綺麗なオレンジ色の下から真っ白な肌が現れ、そしてワンピースの下に着ていた黄色のキャミソールが、どうにか胸元に止まって淫靡な視線から守っていた。
「いやだッ!!やだよぉ!!や…やだよぉッ!!」
枷と金具はぶつかり、ガシャンガシャンと喧しく騒ぐが、やはり亜季の姿勢は微塵も変化を見せない。
ワンピースが隠しているのはもはや両腕だけであり、その衣服は亜季の後頭部の下に、枕のように重なった。
そしてキャミソールまでも捲られると、亜季の胸元は純白の肌着だけとなり、その真っ平らな胸板が明らかとなった。
殆ど凹凸の見られない胸板と、緩やかに膨らんだ腹部が露わになったが、それは未だに幼児体形から脱け出せぬ未成熟な幼体そのもの。
その幼い胸元を包んでいる柔らかな布地は女児用のブラジャーであり、胸までしかないランニングシャツのような形をしている。
視線をずらせばお揃いの白いパンティは前みごろも大きく、フリルも控え目な、間違いなく子供用の下着である。
大人のとは違う下着を装着している亜季を見下ろしている三人の目はひん剥かれ、興奮によってギラギラと輝きだした。
『今コイツ「いやだ」って言ったぞ?オマエ、コイツに嫌われてんじゃねえかあ?』
薄笑いで吐き出された台詞を後頭部に浴びながら、長髪男は少し険しい表情を作り、そして亜季の頬を両手で包むと、顔を至近距離にまで詰めてジッと見詰めた。
『……お兄ちゃんは亜季ちゃんのコトが大好きなのに……亜季ちゃんはお兄ちゃんのコトが嫌いなんだ…?』
「ひぅ…ッ!」
ただでさえ怖くて堪らないというのに、眼前の長髪男の眼光の鋭さは亜季の心胆までも震えあがらせた。
怒らせたら、何を仕出かすか分からない異常者の瞳に生命の危機さえ感じ取った亜季は、悲鳴すら出せずにブルブルと震えるのみだ。