幼なじみ-1
『 ちー ちゃん 』
一瞬目眩がして、
遠くから女の子の声がした。
昔、ちーちゃんと呼ばれていた時の事を思い出す。
幼なじみが2人いた。
1人は可奈子。
可奈ちゃん、と呼んでいた。
もう1人は達也。
ちづるは、ちーちゃんと呼ばれていた。
同じ小学校、同い年の3人は
小さい頃、3人でよく遊んでいた。
達也はよくミミズを持ってきては、
ちづるの顔の前に出す。
今も昔もミミズが一番怖い。
それを出されるといつも、大声で悲鳴をあげる。
そして、大泣きする。
達也には、それが面白くてしかたなかった。
いつも、それを可奈子が助けてくれる。
小学4年生になって、達也とは違うクラスになったが、会うと、いつもからかってくる。
達也はニヤニヤしながら手をグーにして、ちづるの顔の前に差し出す。
「何が入ってると思う?」
「、ぇ、!? 、っ、」
、 、、まさか、 、!
その手の中の物を、ちづるの顔にかける動きをする。
慌てて、後ろへ逃げる。
「、 、、うっそーー!!」
達也は大笑いをする。
日によっては、わざわざ教室にきて、
からかう。
本当に虫が入ってた日もあった。
可奈子は、そんな達也を叱り、いつも助けてくれていた。
小学6年生の冬。
ちづるは自分の母親から達也が転校する、という事を聞く。
親の仕事の都合で、秋田へ引っ越す事になったらしい。
虫のイタズラは嫌だったが、
少しだけ寂しく思う。
転校する前日、放課後の学校でちづるは達也に廊下で呼び止められる。
「常盤!」
達也は3年生の頃から、ちづるを常盤と、呼んでいた。
「達也くん、、。
なに ? 」
「ちょっと来て。」
「 ? 」
そう言われてついて行くと、
そのまま理科室に入る。
放課後の理科室は、鍵がかかっていなかった。
4時に、鍵がかかる事を達也は知っていてその前にちづるを連れてきた。
達也が言う。
「、 、、俺、転校する。」
「うん。
お母さんに、聞いた。」
「、 、 、 、」
「、 、 、 、 、、 」
「、 、常盤、俺の事、嫌いだろ。」
「 え?
そんな事、ないよ。 」
「、 、 、、」
「虫とかは、嫌だったけど、、、。
でも、転校は、 、 、
うん、 ちょっと 寂しい 。」
「、 、、 、」
「、 、 、 、、 、
え、っと 、 、元気でね 。
、 、 、私、行くね 。」
「 っ、待って!!」
達也は早歩きで、ちづるの目の前にきた。
近い距離に、ちづるはたじろく。
「 っ、なに ?」
「、 、、俺と、け、っ、 、、
結婚 して !! !」
「 え ? 結婚 ?
、 、 、、 、 っ、でも、 、、
、 、っ、結婚は、
大人にならないと、 、
出来ないし 、 っ、 」
「 分かってる 、 、」
「、 、 、、 」
「 っ、、約束して!
他の人と、結婚しないって。」
「、 、、っ、そんなの
大人にならなきゃ、
分からないよ、 、」
「、 、、それは、
そうだけど 、、。
、 、 、 、、
でも、俺 、、
結構、今 大人だと思う 。」
「 っ、、小学生は、
子供だよ、、」
「 そんな事 ない 。
大人なんて、 すぐになるし
ってか、もう、 、なってきた 。
っ、はー、 、
証拠 見せる 」
「 ? ? え ?」
達也は一点を見つめると、覚悟を決めた様子だ。
自分のズボンのボタンを外す。
ズボンとブリーフのパンツを、一緒に下げた。