第七章-1
第七章
それから私は和室に連れて行かれ、両手両足を縛られ畳の上に寝転がされて、泉美からバラ鞭と蝋燭による数学のお勉強を受けた。
バラ鞭とは先がばらばらになった鞭で、お仕置き用として見せられた一本鞭とは違って、凄まじい音の割にはそれほど痛くなかった。同じ箇所を何度も続けて打てば多少肌が赤くなる程度で、皮膚が裂けて血が出るということはまずなかった。
また蝋燭も赤い低温蝋燭で、体に付着した蝋の赤い斑点が毒々しく見える割には、それほど熱くなかった。少し熱いめのお風呂程度だった。
一段落したところで泉美が手を休めた。
「じゃ、今日の午前中の数学のお勉強はこのくらいにして、お昼ご飯にしようか」
「はい」
私はすべての縄を解かれて、両手と両膝で四つ這いにさせられ、その格好のまま、首輪の鎖を泉美に引っ張られて、ダイニングキッチンに移動した。その途中、泉美の許可をもらって二回目のおしっこをした。私は幼少の頃からトイレが近いのだった。
キッチンに着くと、泉美は私を四つ這いにさせたまま、鎖をテーブルの脚に括り付けて固定した。そして昼食を作り始めた。
「私も手伝いましょうか」
「どうして?」
「だって私は奴隷ですから」
私の回答に泉美は苦笑した。
「あのね、彩香。お前は奴隷と言っても家事奴隷や労働奴隷じゃないんだよ。数学のお勉強をするための奴隷。いわば数学の奴隷なの。だから料理を手伝ってもらうよりも、そこで裸で四つ這いでいてくれた方が、私にはよっぽど嬉しいわ」
「そうなんですか。じゃ、私が数学の奴隷なら、泉美様は数学の女神様ですね」
「数学の女神か。うん、それ、いいわね。気に入ったわ」
泉美は二人分の焼きそばを作った。しかし、自分の分はお皿に入れてテーブルの上に置いたが、私の分は、私が四つ這いにさせられているその目の前、床の上にポイと落とした。お皿にも入れずラップさえ敷かずに。
「お前はそれを手を使わず、口だけで食べるんだ。犬か豚のようにね。もちろん四つ這いのままで。少しでも手を使ったらお仕置きだよ」
(そんなあ)
「この床はきれいなんですよね?」
「いや、汚いよ。見てのとおり埃だらけだ」
嘘でもきれいと言ってほしかった。
そして泉美は、自分はテーブルの上で箸を使って食べ始めた。私は情けない思いでいっぱいになり、しばらく食べるのを躊躇していた。
「どうしたの? 食べなかったらお仕置きだよ」
「食べます」
私は埃だらけの床に落とされた焼きそばを、四つ這いのまま、手を使わず口だけを使って食べ始めた。これはなかなか労力のいる仕事だった。最後の方はほとんど床を舐めているのと変わりなかった。
午後は縄を用いた本格的な緊縛が行われた。どこで身につけたのかは知らないが、泉美は相当な緊縛の技術を持っていた。私はいろいろな形に縛られ、また天井から吊るされたりもした。
あまりにもきつく縛られるため最初は肌に食い込む縄が痛かった。吊るされると、さらに自重で縄が肌に食い込んで、耐えられないくらいだった。しかしある瞬間、ふっと軽くなってうっとりとした。そこから先は縛られることが天国に変わった。マンコもじんわりと濡れてきた。
逆さ吊りにもされた。この時は頭が朦朧としてきた。それが快感のためなのか、それとも頭に血が下がって来たためなのかはわからなかったが。ただ、
「逆さ吊りは五分以上やると命に危険がおよぶらしいよ」
と言って、泉美は三分で頭を上にしてくれた。
夕方遅くなって緊縛は終わり、泉美がベランダで私の体を洗ってくれることになった。私は例によって四つ這いのまま首輪の鎖を引っ張って連れて行かれ、ベランダでも四つ這いのままでいさせられた。どうやらこの格好のままで洗うようだ。
「これ、パパが車のタイヤを洗うのに使っている汚い刷毛。これでお前の体、髪、顔をごしごし洗うのよ」
大きくて毛の硬そうな刷毛を泉美から見せられ、私は顔が引きつった。しかし拒否や抵抗はもちろん許されていなかった。