〈新たなる協力者〉-3
『120万か……悪くないよね』
咲良の代金を受け取り上機嫌な長髪男に、首謀者は不機嫌な視線を向けた。
確かに金は必要だし、欲しいとは思う。
しかし、これから自分達は“どうする”というのだろう?
欲情を掻き立ててやまない美少女達の通う学校や、自宅の住所がいくら分かっていても、もう拉致などしても連れ込める空間は無く、それはつまり、監禁して凌辱出来る部屋も喪失しているという事なのだ。
まさか今さら“あいつら”に侘びる訳にはいかないし、かといってこの部屋に美少女を連れ込んでも、いつまた横取りされるかもしれない。
首謀者の抱えている悩みは、小肥りオヤジも等しく思っている。
与えられた現金に馬鹿みたいに浮かれているのは、長髪男ただ一人だけだ。
『イイ買い物が出来たよ……で、なんか今回は売りに出すのが早くない?』
引っ詰め髪の男が訝しがるのも尤もだ。
いつもなら姦すだけ姦した後に、電話で商談を持ち掛けて売り飛ばしていたのだから。
だが、今回の獲物は、まだまだ充分に“使える物”だった。
多少の傷みはあるものの、今までの少女達に比べれば被害は少なかったし、手放すには早すぎると思えたからだ。
『いやあ、実はさ、ちょっと仲間に裏切られてさ、僕達が帰ってきたら“このザマ”になってたんだ』
『!?』
あっけらかんと、長髪男は自分達の今の状況を吐露した。
そして札束の端を両手で掴むと、クニャクニャと波打たせながらチラリと横目を流した。
『そこのニワトリみたいな顔したオヤジと祝杯用のビールと肴を買いに行ってる間に、その肉ダンゴみたいなオヤジが昔の仲間に襲われちゃってさ、簀巻きにされて目の前でそのガキが姦されちゃったんだよ……フゥ〜、酷い話だと思わないかい?』
この三人の中で自分が一番格上だと思われたいのか、首謀者と小肥りオヤジを卑下しながら伝えていた。
もう我慢ならんと首謀者が肩を怒らせて歩み寄ると、引っ詰め髪の男の口から、信じられない言葉が吐いて出た。
『つまり、監禁部屋が無くなったと……俺が用意してやろうか?』
『!!』
今の三人にとって、その申し出は渡りに船である。
しかし、あまりに唐突なのも事実であり、しかもその引っ詰め髪の男をにわかに信じられるほど、首謀者と小肥りオヤジは“素直”ではない。